小さい頃から野球に親しみ、南海ホークスの大ファンで、『娯楽といえば野球』の時代を生きてきた島さん。そんな人生の集大成に大親友と、今年見事に優勝を収めた『読売ジャイアンツの試合を生で見たい』とご希望をお寄せいただきました。
同席するのは、70年来の『大親友』という宮地さん。
宮地さんと島さんは、中学校で出会い、同じ大学に入り、さらに同じ会社に勤め、長い時間を、友人として過ごしてきました。
当日はおふたりの過去のお話や、島さんがファンとして見つめてきた野球の歴史をお伺いしながら、大熱狂の巨人VS阪神戦・クライマックスシリーズを観戦してきました。

お洋服も、ジャイアンツカラーのオレンジでばっちり決めてきてくださいました。
島さん「もうね、旅行も無理。運動もだめだし、車の運転も無理だし。あとはお迎えを待つだけかなと。今回は思い切って来ましたよ」
そんなことを言いながら笑う島さんですが、球場へ向かう足取りは軽やかです。

宮地さんが、「おじいちゃんと孫みたい……」と呟かれますが、初対面にも関わらずそれだけ仲良くなれたのは、島さんの明るいお人柄のおかげでしょう。
島さんと宮地さんは1945年、終戦の年に大阪府の中学校の同じクラスで出会いました。
戦後の学制改革で、新制高校に変更され、疎開していた学生と再合流しクラスの人数が増えたと思いきや、すぐに男女共学への変更で今度は人数が半分になるなど、まさに激動の戦後に学生時代を過ごされましたが、そんな中でも不思議といつも同じクラスで、一緒の時を過ごしてこられたそうです。
学生時代は、剣道や柔道のような厳しい体育会系に嫌気がさし、同好会的な野球・ソフトボールを楽しんでいたそう。

「自分が大学生だったころは、六大学野球がすごく人気があって。職業野球という言葉があったくらい、プロ野球を下に見てる風潮もあったんですよ」
「当時ね、江川卓っていうピッチャーがいて。法政大学にね。東京大学との試合で江川が出るからって、東京に転勤だったから観に行ったんだ。そしたら見事に神宮でね、江川が敗戦投手になって……。」
野球の変遷とともに、おふたりが辿ってきた道のりを思い返しているようです。

大学でもそろって草野球をしたり、やはり野球がおふたりをつないでいました。


定年を迎え退社したとき、二人は再び、連絡を取り合います。
そこから、島さんと宮地さんのご関係は再開しました。
島さん「引退して、時間ができて、一緒にゴルフに行ったり。でも、ゴルフもできなくなったし、『真顔』になった。会社の同期会も参加できなくなったり。病気をしたり、医者から、夜間外出は控えろといわれたり。お付き合いが、悪くなった。」

試合は阪神を相手に、巨人が圧倒的な大勝で終了。
おふたりに感想をお伺いすると、
島さん「(引退表明していた)阿部慎之助の最後のヒットが見れて良かった! 期待していた丸ちゃんがだめだったのが残念。いずれにしても、一番良い日に設定していただいたのが有難かった。」
宮地さん「私も、セ・パ分裂以来、セの試合を見るというのは、交流戦以来初めてです。テレビで見るのとは違う。いやぁ、すばらしいいい場所で見れて良かった。」
奇跡的にこの日は、阿部選手の引退と巨人の大勝が重なり、おふたりにとって思い出に残る日になったようです。

ピッチを眺めて指をさす姿に、今も変わらない友情をみるようです。
これからも、野球を楽しまれてどうぞ仲良くお過ごしください!