単身赴任中だった1年半ほど前に、松本様は脳梗塞を発症。
後遺症で左半身不全麻痺となりましたが、リハビリを経て今では左足に装具をつけながら仕事に復帰。
日常生活はほとんど自立されていますが、介助が必要な場面では奥様がサポートをされているそうです。
左半身不全麻痺を乗り越えて、これまで大好きだった登山に奥様ともう一度行ってみたいという願いをお寄せいただきました。
松本様の願いを叶えるためにはどうすればよいか、CaNoWスタッフチームは頭をひねりました。
そしてようやく見つけたのがこちら!

当日は大阪府よりはるばる秋真っ盛りの山梨県と長野県の県境までお越しいただきました。
また、頼りがいのある男性看護師も付き添い、介助が必要な場面でいつでも頼っていただけるよう準備も万端です。

HIPPOは、一般的な車椅子と比べて、背もたれがリクライニングでき、足が伸ばせるので、快適に座ることができます。また、前輪のタイヤが太くてしっかりした造りになっており、砂利道や芝生などでも安定した走行ができるそうです。
普段車椅子には乗らない松本様ですが、HIPPOに乗ってみた感想は「すごく快適」とのこと。
さっそくHIPPOに乗り、展望台まで登れる天空の遊覧カート乗り場に向かいます。

実はゴルフカートを利用しており、路面に引いた誘導線に沿って進むため、ボタン一つで頂上まで楽ちんです。
時速は約3kmと、歩くスピードと同じくらい。
「わぁ、本当に自動で動いてるね!すごい!」と松本様ご夫婦とスタッフ一同もテンションが高くなり、笑顔で麓をあとにしました。

ちょっときつい坂道や砂利道もありましたが、ブレーキ操作のコツを掴んできたのか、今日初めて操作する奥様もスムーズに押すことができました。

日頃の行いが天気に現れた模様です。

これまで北アルプスから順番に登ってきたそうで、次はいざ南アルプスへ!というタイミングで脳梗塞を発症してしまい、南アルプスへの登山は、一度は絶たれた望みだったそう。
そのような中で、松本様は満面の笑みを浮かべ、今回のご夫婦揃っての南アルプス登山を楽しんでいらっしゃいました。

こちらではベンチでちょっと休憩。少し日が傾いてきて肌寒くなってきたので、あたたかいコーヒーを頂いて暖をとります。

慣れないインカメラのようでしたが、逆にとても楽しそうな表情が撮れましたね。


HIPPOからハンモックに腰かけて寝転がるまで、腹筋や腕の力が必要でしたが、思ったよりも身軽に乗ってのけた松本様。
奥様と無邪気に楽しんでおられる様子に惹かれ、エムスリースタッフもハンモックを楽しませていただきました。

ゆっくり夕日を眺められるおふたりのお姿が眩しく、思わず言葉を失ってしまいます。
スタッフ一同は、静かにその場を見守らせていただきました。
~2日目~
昨日は天気に恵まれ、北アルプスの山々や富士山がよく見えました。
今日は昨日とうって変わって、静かな森のなかを散策します。


耳をすませば、きれいな鳥のさえずりが聞こえてきます。

思わず息を呑むような景色に、松本様ご夫婦もうっとりしたご様子。
今日の空も青く澄み渡り、私たちを包み込んでくれています。

そう言って松本様が少し照れくさそうに奥様に渡されたのは、ピンク色の可愛らしい花束。
奥様は驚きの様子。
「ここまで歩けるようになって、本当によかった。こちらこそ、これからもよろしくお願いします。」 と花束を受け取り、思わぬサプライズに喜んでいました。

たった2日間の短い時間でしたが、おふたりの今後の人生を楽しむための一歩を踏み出すお手伝いができたのであれば、スタッフ一同も大変嬉しく思います。
改札でおふたりをお見送りするときは、さみしくなって涙が浮かんでしまいましたが、新たな目標ができたおふたりからまた素敵なお話がお聞きできることを楽しみにしています。
本当にありがとうございました。
