また、両肩変形性関節炎のために両手を耳の高さくらいまでしか上げられません。
そんな武子さんを日頃サポートしているのが、長男のお嫁さんである美希子さん。
美希子さんも過去、非ホジキン性悪性リンパ腫で余命1年と宣告されたものの、抗がん剤治療を乗り越えて寛解した経験をお持ちの美希子さんは、洗髪や着替えなど、武子さんが十分に出来ない部分を、日常的に手厚く介護されています。
長男の嫁と姑の関係ですが、おふたりはとても仲が良く、今回の願いも、ご長男さんにお留守番をお願いして、女二人旅でゆっくり温泉宿に行きたいとのこと。
今回の願いは、紅葉の下呂温泉での紅葉狩りという、山道や砂利道を車いすで行くルートが含まれます。
さらにせっかくの温泉地、美希子さんも入浴の介護から離れてぜひゆっくりしていただきたい…。
そう考えたCaNoWチームは、登山が趣味のパワフル看護師、丸山ナースにサポートを依頼。

山道も温泉もお任せの丸山ナースの助力を得て、今回の願いを叶えていきます!


今回の内容は、『温泉宿に泊まる』『合掌村を見学する』『紅葉狩りをする』の3本立て。
パワフルな丸山ナースと、CaNoWの天然スタッフ山川が同伴します。
【1日目】
まずは温泉宿にチェックイン。

- 壁を埋め尽くす有名人のサインに圧倒。
- こちらが個室の露天風呂。一見深そうですが、ステップがあるので安心。
- 個室からは、下呂の紅葉の山々を臨みます。
- 武子さん「いい宿やわ。頑張って来てほんとによかったわー。」
宿泊先は『下呂温泉 懐石宿 水鳳園(すいほうえん)(https://www.e-onsen.co.jp/)』をチョイス。
こちらの旅館は、老舗旅館をリフォームしてあり、バリアフリーの個室でありながら個室露天風呂まであるという、まさに高齢者の温泉旅行に最適なプランが用意されています。
趣のあるロビーには、私たちの他にも、ご年配の方の旅行客が多数訪れていました。

バイタルチェックが完了し一息ついたら、さっそく1日目の観光先、合掌村に向かいます。
道中は砂利や坂道など、車椅子にとって進みやすい道ばかりではありません。

段差も砂利道も片輪ずつ、車いすを傾けたり、前輪を起こしたり、器用に乗り越えて進む丸山ナース。頼もしい車椅子さばきに、武子さんも身を任せます。

一行は合掌村へ到着。
ここ合掌村には、白川郷から移設してきた合掌造りの建物が並びます。
本来の白川郷は少し遠く、今回の旅プランに組み込むことは出来ませんでしたが、紅葉をまとった合掌造りの家々を見学します。
日頃は外に出る機会も少なく、今回新幹線に乗ったのもなんと50年ぶりだという武子さん。
「頑張って来てよかった」
そんなお言葉をいただけました。
合掌村の中に設置された足湯に浸かることに。ここでも丸山ナースのワイルド看護が発揮されます。

丸山ナース「ぜーったい落とさないから!私に体重かけてー、はい右足から!!」
力強く武子さんを支えるナース。力強すぎて投げ技を彷彿とさせます。

丸山ナース「(武子さんは)軽いから、もうおんぶして行けちゃいそうねぇ」
一行「は…ははは…(苦笑)」
足湯で温まった一行は、宿に戻ることに。

庭に降りる途中は車いすが入れない、細い下り坂。
ちょっと不安そうな武子さんでしたが、丸山ナースががっちり脇を抱えて降りることで、こんな景色も堪能できました。

宿に戻り、お食事の前にお風呂の準備に取り掛かります。
ここでも丸山ナース、武子さんの体をひょいひょいと抱きかかえての入浴介助。
ショートパンツと相まってまるでスポーツに挑むかのようですが…、入浴介助です。
お部屋では、宿のサービスのお茶セットで、美希子さんの特技の茶道を披露していただきました。
- お茶をいただくCaNoW山川。「へえー、回すんですねー」と、お茶碗をぐるぐる2周半も回したお茶目さんです。
くつろいでいると丸山ナースから「私もお茶できるんですよー」
全員「ええっ!?」
野性味と侘び寂びがマッチせず、混乱する一行を尻目に、丸山ナースがお茶を点てます。

- この日誕生日の美希子さんに宿からの化粧品サービス。
懐石宿の名の通り、美希子さんと武子さんは色とりどりの美しいお料理を堪能。
翌日は温泉寺へ紅葉狩りに行きます。
【2日目】

実は、30年前に武子さんはバスツアーで下呂温泉に来たことがあるそう。
武子さん「そのとき、とてもええ思い出になって。また来れるなら下呂温泉がええなって。」
昨日に続き、砂利道の上り坂でしたが、丸山ナースが前輪を持ち上げた車椅子をごりごりと操作し、到着した温泉寺。
前輪をあげてがんがん進む姿に、まるで車いすではなく、本当に人力車が進んでいるような錯覚を覚えます。

足湯で温まりながら、美希子さんに肩まで揉んでもらい笑みがこぼれる武子さん。
リラックスの武子さんの脇で、一人で大騒ぎしている山川。
山川「熱い!でも温泉魂で!!えい!」(足の裏をちょっとつける)「私、猫舌というか猫肌なんで!やっぱり無理です!!」
天候にも恵まれ、グラデーションの紅葉を堪能することが出来ました。

本日の感想をお伺いすると、
武子さん「体調も良くて、気持ちよく来られて本当に良かったです。いろいろお世話になりました!ありがとうございました。」
と深々とお礼の言葉を頂いてしまいました。
今回の企画は、車椅子で移動することを前提にゆったりとした行程で企画。
ラグジュアリーな旅館でくつろぐ時間をたっぷり確保しました。
ご協力いただいた、武子さん、美希子さんと、丸山ナース、お心づかいをいただいた下呂の皆様のおかげで素敵な旅になりました。
【後日談】
この旅行から3か月後。
『車椅子があれば、歩けなくても好きなところに行ける!』と自信が持てた武子さんは、ご親戚の方と車椅子で今度は長崎に旅行に。
日常生活にもとても前向きになれたと、喜んでいただけました。
