願いを叶えた方々

中西結飛くんとご家族

QLife遺伝性疾患プラス1周年記念イベント「希少な病気、ムコ多糖症Ⅱ型の男の子が”象と遊びたい”」

QLife遺伝性疾患プラス1周年記念イベント「希少な病気、ムコ多糖症Ⅱ型の男の子が”象と遊びたい”」
中西結飛くん

CaNoWムービー

お喜びの声をいただきました

願いを叶えるまで

QLife遺伝性疾患プラス1周年を記念して、遺伝性疾患の患者さんとご家族の「願い」を叶えるイベントを開催。普段お世話になっている読者や医療従事者に感謝を込めて、イベントが行われました。
今回の企画に選ばれたのは、多数応募を頂いた中から*ムコ多糖症Ⅱ型の中西結飛くん(6歳)ご家族。象が大好きだと語る結飛くんと、『市原ぞうの国』に行って象と触れ合いました。
普段は元気に遊んでいる結飛くんですが、「今でも全然病気が受け入れられない」と語る結飛くんのご家族。企画を通して、今抱えている家族の想いや、QLifeとしての在り方についてお伝えします。

■ ムコ多糖症の男の子が大好きな象に触れて

今回のイベントは、遺伝性疾患プラスとCaNoWの協力にて企画を計画しました。たくさんの応募を頂いた中で、数名の方にヒアリングも実施。スタッフで何度も話し合いを重ねた結果、ムコ多糖症Ⅱ型の中西結飛くん(6歳)ご家族の願いを叶えることになりました。

企画内容は、象が大好きな結飛くんのために、千葉県にある『市原ぞうの国』で象と触れ合うというもの。中でも、園内にあるサユリワールドは、「動物同士の共存」「人間と動物の共存」をテーマにしたエリアです。今回は、サユリワールド協力にて、象に餌を上げたり、触れ合ったりと、象と触れ合う機会を作りました。

また、結飛くんは、現在は幼稚園に通う男の子です。*酵素補充療法(週1)のための入院や、脳室内投与(月1)、関節のリハビリや療育(各週1)を行いながら通園しています。病気が分かったあとは、幼稚園に通園するのも以前の半分程度だと言います。
それでも、今は友達と遊ぶ時間が何より楽しい結飛くん。友達と公園で遊んだり、運動会ではリレーに出場したりと大活躍しました。
また、結飛くんは恥ずかしがりやで人見知り。それでもはにかむ笑顔が可愛らしい男の子です。

*ムコ多糖症は、細胞内でのムコ多糖の分解に必要な酵素が生まれつき足りないために、全身の細胞にムコ多糖が蓄積する先天代謝異常症です。ムコ多糖症は7型に分類されており、それぞれの型の症状は異なります。また同じ型でも患者さんによって症状はさまざまです。よく見られる症状は、発達の遅れ、低身長、骨変形、特異な顔つき、固い関節、お腹の膨れ(肝脾腫)、臍・鼠径ヘルニア、心弁膜症(心雑音)、中耳炎、難聴などです。これらの症状は赤ちゃんの頃は目立たず、3-5歳頃になるとはっきりしてきます。重症の患者さんは、徐々に症状が進行していき10歳代になると、歩けなくなる、自分で食事ができなくなる、自発呼吸が困難になる、寝たきりになるなどの状態になります。また軽症の患者さんは、軽度の低身長や心雑音のみで大人になるまで診断されないこともあります。
(引用元 国立成育医療研究センター)

*酵素補充療法:
生まれつき欠けている酵素を治療薬として点滴により血管に入れて補充する治療法です。
(引用元 国立成育医療研究センター)

■ お母さんの願い、応募に至った経緯

ムコ多糖症の息子は、平均寿命が10~15歳とも言われ、だんだん体が不自由になっていくそうです。今は幼稚園に通って元気に過ごしていますが、今後身体が動かなくなってしまう前に、たくさんの思い出を作ってあげたい。息子が好きなことをさせてあげたいと思いました。
息子は動物が好きで、その中でも特に象が大好きです。象に会うためだけに動物園に行くこともあります。ただ、普段遊びに行く動物園では、なかなか象と触れ合うところまではできません。息子の体が動くうちに、象と触れ合って、喜ばせてあげたいです。

■ 間近で見た象に圧倒!

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市原ぞうの国の象たち
いよいよ企画当日。今回は、QLife遺伝性疾患プラス1周年を記念して、スタッフから結飛くんご家族に記念Tシャツをプレゼントしました。Tシャツには、結飛くんの大好きな象のイラストが描かれており、大喜びの結飛くん。さらに、同行した医療スタッフが作成したシールフェルトの象のアップリケもプレゼントされ、ご満悦な様子。
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お揃いの象のアップリケをつけて
早速園内に入ると、お母さんの袖を引っ張ってぐんぐん進んでいく結飛くん。
園内にはさまざまな動物がいる中で、象のエリアに近づくと、いち早く象を見つけて目をキラキラと輝かせました。その後も象の一挙手一投足が気になって目が離せない様子です。

また、園内ではエレファントショーも開催。結飛くんも、ベンチに腰を掛けてショーを楽しみます。象が絵を描いたり、サッカーをしたりと大盛り上がり。
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エレファントショーを楽しむ結飛君家族
さらに、ショーの終盤では象の餌やりも開催。希望者は、自分の手で象に餌をあげることができる、人気のイベントです。続々と参加者が象に近づいていく中、結飛くんも象の近くまで行ってみます。しかし、いざ象を目の前にすると、あまりの迫力に圧倒されてしまって…。餌をあげようとするも恐怖心を感じ、両親の手の上で餌を乗せて一緒にあげることに。
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象が近づくとドキドキ
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象の鼻に餌が届きますように
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象のぬいぐるみが嬉しい!
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象の鼻に乗ってみました
さらに、ショーの終わりには、象のぬいぐるみもプレゼントされて大喜び。

また、象の鼻にぶら下がることができるアクティビティにも参加しましたが、怖くて乗ることが出来ず。代わりに、ご両親が楽しみました。

■ 願いを叶えて、今思うこと

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エレファントショーの感想を語りながら
1日象と触れ合って大満足の様子の結飛くん。お母様に企画の感想や、今抱えている想いについて伺いました。

「とても楽しい時間を過ごすことができました。最後は、少し結飛がダレていましたが、それでも大好きな象とたくさん触れ合えて、彼なりにとても楽しめたと思います。ありがとうございます。

また、ムコ多糖症は進行性の難病です。改めて病名が分かってからは、自分自身の意識も変わりました。

今は、幼稚園から泥だらけの洋服で帰ってくると、元気に遊んできたんだなぁと思います。トイレを失敗しても、以前はつい怒ってしまった日もありましたが、今は息子が元気に生きている証。お世話できる喜びを実感しています。今までは、当たり前だと思っていた光景が、とても感謝すべきことだったんだと気づきました。

結飛の病気は、今の医学では根治出来ません。週1の酵素補充は朝8時半に家を出て、帰宅は夕方5時をまわることもあります。負担が大きく、自宅で就寝中に酵素補充が可能とか、幼稚園で保育を受けながら出来たら嬉しいと思っています。

また、病気が分かった後も、すぐに治療に専念しようとする気持ちと、現実を全く受け入れられない気持ちが混在しました。今だって、正直受け入れられていません。

でも、時間は刻々と過ぎていき、結飛と一緒にいられる時間も限られています。
それなら、負の気持ちに占領されるばかりでなく、1秒1秒を大切にしようと思いました。

ムコ多糖症である息子は、見た目は幼稚園の年長でも、中身は3歳の難病児です。友達と鬼ごっこをしてもルールを理解ができず、鬼になっても一緒に逃げています。友達のおもちゃを壊したり、意地悪をしているととられてしまう場面もあります。時にはしつけが甘いんじゃないかと思われることも。
ムコ多糖症は希少な疾患のため、周りから病気の理解を得ることが難しいです。また、自分で病気について調べるにも、十分な情報が出ておらず苦労しています。

それでも、結飛はごくごく当たり前の幸せを改めて気づかせてくれました。結飛がいると、毎日が幸せであふれ、感謝もしています。改めて息子に『ありがとう』と伝えたいです。
ただ、結飛に期待した結果、それが出来ないと分かるのも悲しいのも事実。ですからあまり期待をし過ぎないようにしています。今は、息子がしたいこと、できることを全力でサポートしたいと思います」

■ QLifeチームとして企画を終えた感想や、今後の展望

遺伝性疾患プラスの1周年を記念し、日ごろから応援頂いている患者さんご家族への感謝の気持ちをお伝え出来て良かったです。何よりも、中西さんご家族の笑顔を見られたことが、本当に嬉しかったです。
遺伝性疾患プラスは、これからも遺伝性疾患と向き合う方々にプラスの情報をお届けして参ります。また、中西さんのような当事者のご家族の声も発信していくことで、全ての遺伝性疾患を正しく知って頂くための活動を続けていきます。



当日同伴スタッフ:鬼頭尚子、名倉由真(M3)

企画プランニング:鬼頭尚子(M3)

文章作成:松永怜

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