願いを叶えた方々

髙木義文様とご家族

二十歳の記念に、家族写真を撮りたい

二十歳の記念に、家族写真を撮りたい
CaNoWのサポートで、プロカメラマンによる写真撮影を叶えました。

お喜びの声をいただきました

髙木伯美さん

撮影後から義文の体調がすこぶる良く、意識もクリアで良好なコミュニケーションが取れております。撮影が良い刺激になったようです。すごく綺麗に撮っていただき感無量です。本当に素晴らしい記念になりました。

願いを叶えるまで

大阪市に住む髙木義文さん(20)は、中学1年生だった頃に脳腫瘍を発症しました。
はじめは吐き気などの症状でしたが、徐々に進行して歩くことができなくなり、耳も聞こえなくなりました。手術や化学療法、放射線治療を受け、一時は穏やかな状態でしたが、高校1年生の時に再発。その2年後にも再再発しました。

現在は、1日のうち長い時間をベッドで過ごしています。それでも、前向きに生きる気持ちは失わず、二十歳を迎えた今年、成人式への参加を楽しみにしていました。しかし、新型コロナウィルスの影響で成人式は二度も延期に……。母親の伯美(のりみ)さんは、何とか家族の思い出を残す方法はないかと考え、「自宅で家族写真を撮りたい」と思い立ちました。

「以前、家族全員の似顔絵を描いてもらったことはあるんです。自分で撮った写真を送り、それに似せて描いてもらうサービスを利用しました。でも、やっぱり私は写真を残したくて」(伯美さん)

家族の表情、温かさをそのままカタチにするため、プロのカメラマンによる写真撮影を希望されました。
左から父・髙木圭介さん、母・伯美さん、次男・義文さん、
長男・裕介さん、三男・大成さん。
ただ、写真撮影を安全に遂行するには、医療スタッフの力が必要です。義文さんの身体を起こすには介助が必要で、撮影中に容体が悪化する心配もゼロとは言えません。また、新型コロナウィルスの感染対策も考えると、ご家族だけでは実現が難しいことは明らかでした。
そこで伯美さんはCaNoWに応募されました。CaNoWでは医療資格を持つスタッフが応募者の願いをサポートするため、安心して家族写真を撮ることができると考えたのです。

応募があった時点で、義文さんは指でタブレット端末を触ってコミュニケーションを取ることができましたが、徐々にそれも困難になっていきました。そのため、プロジェクトは通常よりスピーディーに進行し、約1か月半後には家族写真の撮影を実現しました。

■ 撮影当日

父の圭介さんが義文さんのネクタイをキュッと結び、母の伯美さんが成人式のために用意した真新しいスーツを着させます。CaNoWスタッフはタブレット端末に文字を表示させながら言葉をかけ、伯美さんと一緒に着替えや移動などをサポートしました。撮影は、リラックスした雰囲気で始まりました。

「はい、カメラ目線でお願いしまーす!」

リビングに、プロのカメラマンによる掛け声とシャッター音が響きます。写真スタジオさながらの大きなバックスクリーンを背に、車いすに座った義文さん。その佇まいは、まさしく新成人でした。家族のベストショットはこちら。
カメラマンから「ヨシ君、一人だけでも撮りましょうか」と提案され、照れたように笑った義文さん。
カメラを向けられると、凛々しい表情。
伯美さんによると、もともと義文さんは3人兄弟の中でも一番活発で、野球が大好きな少年だったそうです。そこで、CaNoWスタッフはサプライズプレゼントを用意。髙木さん一家が大ファンだという阪神タイガースのユニフォームです。

これには、義文さんも大きく頷き返し、ご家族は「今年は優勝できたらねぇ」「スタートダッシュはいつもいいんだけど(笑)」などと、ほほを緩めます。家族全員でユニフォームに身を包み、笑顔でパチリ。
途中で休憩を挟みながら、無理のないペースで撮影は進みます。休憩中、ご両親は義文さんが幼かった頃のアルバムをめくりました。分厚いアルバムには、かわいらしい姿の写真が隙間なく配されています。

「家にいることがなかったんですよ。帰ってきたらすぐに野球したり、遊びにいったり」(伯美さん)

義文さんが1~2歳の頃には、お風呂場で転倒して生えたばかりの前歯が折れてしまい、小学生頃まで笑うと前歯がなかったとか。幼かった当時は大慌てしたことも、二十歳となった今は懐かしい思い出です。
この日は清々しい晴天に恵まれ、義文さんの体調もよさそうだったため、車いすで外へ出掛けました。自宅の前で撮影をした後、散歩がてら近所のお寺に向かい、ご家族でお参り。こうして連れ立って歩くのも、普段はなかなか叶いません。春風が優しくそよぎます。
その後、兄弟3人が通っていた保育園の前を通って、思い出の公園にも足を延ばしました。やんちゃ盛りだった少年時代、力いっぱい駆け回った記憶が、ご家族それぞれに思い起こされたことでしょう。父・圭介さんは、まるで大きな木のように、子ども達の肩を包みます。その両腕で、いつも家族を守ってきたことが伝わります。
ブランコや滑り台を眺めながら、伯美さんは義文さんの幼かった頃に思いをはせていたのでしょうか。撮影の終盤、しみじみと語ります。
「みんなに愛されて、幸せだね」
撮影を通じて家族の距離感はぐっと近くなり、お互いを大切に思う気持ちが浮き彫りになりました。義文さんの大切な二十歳の記念をCaNoWに依頼してくださり、大変ありがとうございました。

■ 野球少年が立派な青年になり、感慨深い

最後に願いを叶えられた義文さんに、主治医の藤崎弘之先生(大阪市立総合医療センター小児血液腫瘍科部長)からメッセージをいただきました。

今回の企画を聞いて、髙木さん一家らしいなと思いました。義文君の病状が進行しても、いつもお互いに笑顔で支え合っているような、大変仲のいいご家族だからです。

私は、彼が中学1年生の頃から診療していますが、野球が好きだという話はよく聞いていました。中学3年生の頃だったでしょうか。夏の野球大会に出場できず、残念そうにしていたことをよく覚えています。実は私自身もかつて野球に打ち込んでいたので、その気持ちはよくわかりました。

義文君はまじめな性格で、高校生くらいの頃だったか、入院中も病棟の学習室で勉強をしていましたね。目標に向かってしっかり努力する姿が印象に残っています。病気の治療を選択するときも、一つひとつ自分で考え、決定していきました。あの野球好きだった少年が二十歳になり、ここまでしっかりした青年になったと思うと、感慨深いですね。

これからも彼の思いを大切にし、一緒に支えていきたいと思います。

当日同伴スタッフ:石野宏実(M3)

企画プランニング:鬼頭尚子(M3)

文章作成:越膳綾子(M3)

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