【Kさんの病気発覚から闘病の様子】
34歳女性Kさん(岐阜県在住)は、2020年6月腹部に不快感を感じて医療機関を受診したところ、膵頭部癌ステージ4であることが発覚しました。 病気が見つかったときはすでに肝転移があり、手術は不可能だったため、7月上旬より抗がん剤の投与を行いました。
旅行直前の10月下旬には身体の痛みが強くなり、緊急入院。貧血や腹水の貯留が見られましたが、輸血や腹水の除去を行い翌日退院しました。その後、内服薬でなんとか体調を整え、旅行の日を心待ちにしていました。
■ 旅先でも安心して過ごせるように医療連携
1.旅先の病院との連携旅行中の体調不良があった際にも受診ができるよう、CaNoWスタッフは旅行先である志摩市にある志摩市民病院に相談を持ちかけました。
すると院長である江角医師が快く協力をしてくださり、旅行当日の夜間でもスムーズな受診ができるよう、予めCaNoWスタッフはKさんの診療情報を共有しました。
2.在宅診療医との連携
かかりつけ医である在宅診療の先生とCaNoWスタッフが連携し、Kさんが旅行に行くまでに必要な処置や処方を、事前に行っていただくようお願いすることができました。
また、旅先の志摩市民病院に伝えるべきことも連携して確認しました。
■ 旅行1日目 いつもは車椅子なのに、ふと杖で歩きだしていた
待ちに待った旅行当日。Kさん宅を訪ねると、旅を心待ちにしていたという笑顔のKさんと、一緒に同行するお母様が出迎えてくださいました。出発前は、旅に同行する白月医師が診察して体調に問題ないことを確認します。他にもCaNoWスタッフである勝又看護師・山川看護師も旅に同行します。


出発前に痛み止めを飲んでいたKさん、長時間の移動中は痛みが強くなることはなく、リラックスすることができました。
その後、桟橋からクルーズ船に乗って志摩地中海村に移動。


■ 現地受け入れ先病院からのサプライズに感激…!
クルーズ船で美しい夕日を楽しんだ後、念願の志摩地中海村に到着。すると、地中海村スタッフと共に、受け入れ先病院である志摩市民病院の江角医師が、直々に挨拶に出迎えてくださいました。「お互い顔を見て挨拶をしておくと、何かあったときにもKさんが安心できると思うので」
と、江角医師の気遣いが何とも心強い。さらに、志摩市民病院スタッフ一同様よりKさんに手作りのお札をプレゼントするサプライズも!予想もしなかった展開に、驚きと感動を隠せないKさんでした。


■ 旅行2日目 母子の思いを貝殻にはせて
夜の体調は不思議といつもより調子がよく、よく眠れたそうで、晴れた空を見上げる朝を迎えました。
旅行2日目は、志摩地中海村にある“愛の塔”を目指します。
お母様の介助にて愛の塔にたどり着いた二人。
愛の塔では、普段中々口にできない思いを語りながら、2人の思いを貝殻に記します。
Kさん「もっと生きたい!」
母「久美子の母でよかった。色んなところに行ったけど、地中海村に連れてきてくれてうれしかった」




元々生き物が好きなKさん。母が訪れたことがない場所にも一緒に行ってみたいとのことで、ペンギン館やアシカショーを満喫しました。




CaNoWスタッフとしても、心配していていた急変もなく、穏やかに旅行を楽しめて良かったと思います。
念のため車椅子も持っていっていましたが、旅行中は車椅子を置いて杖で歩きだす場面も多々見られました。さらに旅行中は不思議といつも感じる痛みもかなり軽減したとのこと。
また後日談として、Kさんとお母様にとって、行ってみたい・やってみたいことに一歩踏み出すきっかけになったようで、ご家族みんなでKさんを連れて紅葉を見に行かれたそうです。
CaNoWスタッフ一同、Kさんの願いの実現に寄り添うことができ、大変ご光栄に思います。