膵頭部癌ステージ4であるKさん(30代前半)。いつ容体が急変してもおかしくない状況の中、「家族と一緒に海が見たい!」との思いでCaNoWの願いを叶える企画に応募しました。安全に旅行するために、CaNoWスタッフはかかりつけ医との連携や現地受け入れ病院を探すなど、様々な方に協力を得つつ準備を行いました。
【Kさんの病気発覚から闘病の様子】
34歳女性Kさん(岐阜県在住)は、2020年6月腹部に不快感を感じて医療機関を受診したところ、膵頭部癌ステージ4であることが発覚しました。 病気が見つかったときはすでに肝転移があり、手術は不可能だったため、7月上旬より抗がん剤の投与を行いました。
旅行直前の10月下旬には身体の痛みが強くなり、緊急入院。貧血や腹水の貯留が見られましたが、輸血や腹水の除去を行い翌日退院しました。その後、内服薬でなんとか体調を整え、旅行の日を心待ちにしていました。
旅先でも安心して過ごせるように医療連携
1.旅先の病院との連携
旅行中の体調不良があった際にも受診ができるよう、CaNoWスタッフは旅行先である志摩市にある志摩市民病院に相談を持ちかけました。
すると院長である江角医師が快く協力をしてくださり、旅行当日の夜間でもスムーズな受診ができるよう、予めCaNoWスタッフはKさんの診療情報を共有しました。
2.在宅診療医との連携
かかりつけ医である在宅診療の先生とCaNoWスタッフが連携し、Kさんが旅行に行くまでに必要な処置や処方を、事前に行っていただくようお願いすることができました。
また、旅先の志摩市民病院に伝えるべきことも連携して確認しました。
旅行1日目 いつもは車椅子なのに、ふと杖で歩きだしていた
待ちに待った旅行当日。Kさん宅を訪ねると、旅を心待ちにしていたという笑顔のKさんと、一緒に同行するお母様が出迎えてくださいました。
出発前は、旅に同行する白月医師が診察して体調に問題ないことを確認します。他にもCaNoWスタッフである勝又看護師・山川看護師も旅に同行します。


まずは車で約3時間、三重県の賢島駅近くの桟橋を目指します。
出発前に痛み止めを飲んでいたKさん、長時間の移動中は痛みが強くなることはなく、リラックスすることができました。
その後、桟橋からクルーズ船に乗って志摩地中海村に移動。


現地受け入れ先病院からのサプライズに感激…!
クルーズ船で美しい夕日を楽しんだ後、念願の志摩地中海村に到着。すると、地中海村スタッフと共に、受け入れ先病院である志摩市民病院の江角医師が、直々に挨拶に出迎えてくださいました。
「お互い顔を見て挨拶をしておくと、何かあったときにもKさんが安心できると思うので」
と、江角医師の気遣いが何とも心強い。さらに、志摩市民病院スタッフ一同様よりKさんに手作りのお札をプレゼントするサプライズも!予想もしなかった展開に、驚きと感動を隠せないKさんでした。

夕食は、あらかじめ食べられない食材や食事量を半分にして頂くようホテル側に依頼。母親との会話も楽しみながら「普段は全然食べられないのに、今日は全部美味しく食べられました!」と、とても満足された様子でした。

しばらくして大浴場に移動。特別に貸し切りの許可を頂いており、誰にも気兼ねせずゆっくり入浴を堪能。心地よい疲れを感じながら、ゆったりとお湯に浸かりました。
旅行2日目 母子の思いを貝殻にはせて
夜の体調は不思議といつもより調子がよく、よく眠れたそうで、晴れた空を見上げる朝を迎えました。

白月医師・勝又看護師による朝の体調チェックを済ませ、お待ちかねの朝食の時間を迎えます。本来はバイキング形式でしたが、新型ウイルスの感染を懸念して特別に部屋食にして頂くことができ、ゆっくりと味わうことができました。
旅行2日目は、志摩地中海村にある“愛の塔”を目指します。
お母様の介助にて愛の塔にたどり着いた二人。
愛の塔では、普段中々口にできない思いを語りながら、2人の思いを貝殻に記します。
Kさん「もっと生きたい!」
母「久美子の母でよかった。色んなところに行ったけど、地中海村に連れてきてくれてうれしかった」




その後、車で志摩地中海村を後にして、伊勢シーパラダイスへ移動。伊勢シーパラダイスは、水族館やめおと横丁、隣接する夫婦岩も構えており、伊勢志摩湾最大の屋内型施設ショップです。移動距離が少なく、Kさんとっては負担が軽く楽しめます。
元々生き物が好きなKさん。母が訪れたことがない場所にも一緒に行ってみたいとのことで、ペンギン館やアシカショーを満喫しました。



輪注連縄(不浄を清めるために身体の悪いところにあててから奉納するもの)でお母様がKさんの膵臓付近にあてる場面も。「少しでも良くなるように膵臓のところにあてようね」と思いを遂げて、その後帰路につきました。

Kさんに旅を振り返ってみた感想を伺うと、このようなコメントを頂きました。
「海も山もない町で育ったなか、初日のサンセットクルーズは自然と涙がこぼれ落ちました。とても美しかったです!家族だけでは不安があった旅行。今回は医療従事者が付き添ってくださったので、とても安心して旅行を楽しめました。」
お母様からも大変嬉しいコメントをいただきました。
「娘の症状が安定しないため、家族だけで遠出するには不安がありました。今回は、エムスリーのスタッフ3名とカメラマンさんが付き添っていただき、本当に幸せな2日間をすごすことができました。また地中海村のスタッフさん、志摩市民病院の院長先生がお出迎え下さり、皆様に支えられて無事旅行を満喫できましたことに、深く感謝申し上げます。一生の思い出を作ることが出来、幸せを噛みしめています。ありがとうございました。」
CaNoWスタッフとしても、心配していていた急変もなく、穏やかに旅行を楽しめて良かったと思います。 念のため車椅子も持っていっていましたが、旅行中は車椅子を置いて杖で歩きだす場面も多々見られました。さらに旅行中は不思議といつも感じる痛みもかなり軽減したとのこと。
また後日談として、Kさんとお母様にとって、行ってみたい・やってみたいことに一歩踏み出すきっかけになったようで、ご家族みんなでKさんを連れて紅葉を見に行かれたそうです。
CaNoWスタッフ一同、Kさんの願いの実現に寄り添うことができ、大変ご光栄に思います。

