治療がスタートし、がんのある右乳房を切除。今後、がんになる可能性のある左乳房も予防切除しました。病理検査の結果、2022年3月、寛解という嬉しい結果になりました。そこで「がん治療をサポートしてくれた家族や友人に感謝を伝えたい」と、CaNoWに応募されました。
■ 3か月かけて準備に取り組んだ、手作りの会
がん発覚当時、3歳の長女しずかちゃんと、1歳の長男まさひろ君(ともに仮名)の育児真っ最中だった堤さん。住まいは大阪ですが、悩んだ末、実家のある千葉での闘病を決断します。幼い子どもたちを抱えての闘病生活は壮絶でした。乗り切ることができた裏側には、支えてくれた存在があったといいます。それが、堤さんが今回感謝を伝えたい、実家のお母さんとお兄さん家族、そして友人である岩瀬真弓さんとそのご家族です。
しかし、子育てや治療の副作用もある中、「どんな方法で感謝を伝えればよいのかわからない」とCaNoWスタッフに相談をされました。コロナ禍のため食事会や旅行でお礼をすることも難しい状況です。そこで考えたのが、感謝の思いを伝える会の開催でした。
堤さんはCaNoWスタッフと週1回のペースでオンラインでの打ち合わせを重ね、招待状や席礼、当日上映するVTR作りなどに取り組みました。準備期間は3か月におよびました。
■ 友人医師が「堤さんに教えられたこと」とは?

初めに会場のスクリーンに映し出されたのは、堤さんとCaNoWスタッフがこの日のために制作したVTRです。インタビューに答える形で、堤さんの口から皆さんへの感謝が述べられていきます。

医師であり友人である岩瀬さんは、がんの診断を受けて、常に心理的なサポートをしてくれた恩人。主治医も一緒に探してくれました。岩瀬さんが堤さん親子を何度も家に招いてくれたおかげで、長い闘病生活中にもリフレッシュできたそうです。
抗がん剤治療の日には毎回、LINEで励ましの連絡をくれました。
「『頑張ります。行ってきます』と返事をすることで、本当に頑張ろうという気持ちになれました」(堤さん)

■ 育児や家事を全面的に助けてくれたお母さん
堤さんのVTRを、会場の皆さんは優しくうなずきながら見ていました。なかでも、お母さんと過ごしたエピソードは、皆さんの心に響いたようです。闘病中、育児や家事を全面的に助けてくれたお母さん。堤さんが眠れない夜を過ごしていると、一緒に布団に入り、抱きしめてくれたことがあったそうです。
「『よし、この現状と闘うぞ!』と覚悟が決まりました」
と、涙ながらに語る堤さんの姿に、会場の皆さんももらい泣き……。
VTR視聴後、お母さんは「幼い孫たちを代わりに育てることはできない。絶対治ってくれなきゃ困るという気持ちだった」と語りました。お孫さんたちに強く責任を感じていたこと、また、堤さんの治療を全力でサポートするという覚悟が伝わる力強い言葉に、会場全体が心を打たれた様子でした。
■ お子さん達とかわいさ満点のダンス!

「ママと踊ってみてどうでしたか?」の司会者からの質問に、「楽しかった」としずかちゃん。会場から拍手が沸き起こりました。

堤さん家族が各テーブルを回り、ペーパーウェイトと花束を贈呈。癒しの存在だった岩瀬さんは緑色、強くて優しいお母さんには赤紫色と、ペーパーウェイトの色選びにも気持ちがこもっていました。
ここで堤さんにとって思わぬ展開が。何と参加者全員から堤さんにサプライズの贈り物です! 花束と、皆さんの思いをつづったメッセージカードが手渡されました。堤さんにとって、皆さんとの絆をより強く感じさせる一幕だったのではないでしょうか。
治療の副作用、コロナ禍、育児と制約がある中で、心を込めて一つ一つのプログラムを作り上げた堤さん。伝えたかった感謝の気持ちは、参加者全員にしっかりと届いたに違いありません。