願いを叶えた方々

京都市 モー子さんとご家族

祖母が生まれた「喜界島」(鹿児島県)に行きたい!

祖母が生まれた「喜界島」(鹿児島県)に行きたい!
喜界島の海が見えるペンションで、サトウキビを持つモー子さん(右)(撮影:CaNoW)

お喜びの声をいただきました

願いを叶えるまで

京都市在住のモー子さんは、18歳の高校生。希少がんであるユーイング肉腫を患い、闘病を続けてきました。そんなモー子さんの願いは、「祖母が生まれた喜界島を訪れたい」。遠く離れた離島の大地を、自分の足でしっかりと踏みしめるため、CaNoWと力を合わせてのチャレンジが始まりました。

■ 目指すはジェット機とプロペラ機でたどりつく離島

モー子さんがユーイング肉腫と判明したのは、高校2年生に進級した直後の2021年の春のことでした。ユーイング肉腫は、骨や軟部組織に発生する悪性腫瘍で、おもに10代の若者に発症します。
腕や太ももへの転移もあり、治療して一度は寛解に至りますが、翌22年の夏、今度は頸椎に再発。今年の春には全身の骨と脳への転移も認められ、現在は薬での治療を行っています。

そんなモー子さんの夢は、幼少期に一度だけ訪れたという喜界島を訪れ、「親戚と15年ぶりに再会して、海を見たり、サトウキビをかじったりしたい」というものです。

しかし喜界島は、モー子さんが暮らす京都から、ジェット機とプロペラ機を乗り継いでようやくたどりつく、鹿児島県の小島です。治療の影響で、普段の移動は松葉杖と車いすを使用しており、左骨盤の強い痛みにさいなまれることもあるモー子さん。家族だけでの長距離移動、長時間フライトには不安があることから、CaNoWにご相談くださいました。

■ 空港会社の連携により、負担の少ない移動を実現

CaNoWスタッフは、2泊3日でモー子さんと母親のココすけさん、父親のKieiさんの3人が、喜界島を訪問するプランを作成しました。自宅から伊丹空港までは、用意した貸切のミニバンタクシーで移動してもらいます。
そこから先の伊丹空港、鹿児島空港、喜界島空港を経由する際は、各航空会社などと連携を取りながらモー子さんを手厚くサポートしてもらいました。
鹿児島空港で、喜界空港行きのプロペラ機に乗り込むモー子さん(撮影:CaNoW)
各空港でフルリクライニングができる車いすの用意があり、スタッフの方々が搭乗手続きから乗り換えまでフルサポートしてくださいました。車いすのまま乗り込めるようスロープをご用意くださったり、乗り換えの際には最寄りの搭乗口まで車でご案内くださったりと、各空港スタッフのみなさんの連携により無理の少ない移動ができました。
また、鹿児島空港での4時間の乗り換え待ちでは、救護室を利用させていただきました。救護室の事前手配はできませんが、この日はちょうど空室だったため利用できることに。おかげで、本来なら負担になりかねない待ち時間が、大きなベッドでくつろげる、貴重な休息時間となりました。

■ 豪華な島料理によるもてなし。親戚たちの熱い歓迎を受ける

島に着くと、まずは宿泊するペンションへ向かいます。大きな窓越しから海を見渡せる設計で、部屋にいながら喜界島の自然を堪能してもらえます。
さらにはリビングにベッドを設置し、モー子さんが身体を休めながらご家族と過ごせるよう配慮しました。  

翌日、親戚の家に招待されたモー子さんご家族。用意されていたのは、テーブルに乗りきれないほどの島料理の数々! これ以上にないおもてなしの気持ちがあふれていました。
モー子さんは横になっていましたが、起きて食事を楽しむこともできました。ご馳走を囲んで、母親のココすけさん、父親のKieiさんの笑顔も弾けます。   
温かい手料理を堪能したあとは、皆でお墓参りに出かけました。モー子さんは車の中から、ご先祖様に手を合わせます。

■ 演者と観客が入り乱れて盛上った野外ライブ

モー子さんをあたたかく迎えてくれたのは、親戚たちだけではありませんでした。その夜、喜界島の皆さんによる、モー子さんのためだけの、一晩限りの野外ライブが開催されたのです。
実現に向けて動いてくれたのも、他ならぬ島民の方々でした。今回の旅で撮影を担当した喜界島在住のカメラマンの榮光里さんと、島のライブハウスのオーナーの栄忠則さんが「島芸能のステージを開催しよう」と提案。すると、4組の演者が賛同して、無償で協力してくれることになりました。

会場は、モー子さんが宿泊するペンションの裏のスペースを使用させてもらうことに。
音響機器や照明も演者が用意してくれ、会場設営には観光物産協会の協力もあるなど、皆が心をひとつにして実現した手作りのライブが、いよいよ幕を開けました。   
島唄唄者 安田博樹さん(左)、田邉大智さん
シンガーソングライター 土岐宏大さん
フラダンサー 萩尾菜々子さん
ギターを手に、伸びやかな歌声を響かせるシンガーソングライター。三線の音色とともに喜界島島唄を披露する唄者。自然に溶け込むように優雅に舞うフラダンサー。「モー子さんにパワーと祈りを届けたい!」と集まった演者による、力強さと気迫に満ちたパフォーマンスは、まさに圧巻の一言です。

「さあ皆さん、合いの手をお願いします」
お客さんであるモー子さんと、ペンションに集まった親戚たちに呼びかける演者。モー子さんたちは手拍子や掛け声で応えながら、全身で楽しんでいる様子です。

伝統芸能であるエイサーも披露されました。太鼓を打ち鳴らしながらの躍動感あふれるパフォーマンスに誘われるかのように、親戚たちはメンバーと入り乱れて踊り始めました!
喜界島うるまエイサーのみなさん
ライブ終了後、関係者の皆さんは、「ずっと笑顔を見せてくれたモー子ちゃんから、元気とパワーをもらった」、親戚の方々は、「モー子ちゃんが頑張って喜界島まで来てくれて、みんなでおいしいご飯を食べて、歌って踊って本当に嬉しかった」とおっしゃっていました。今回の旅を通し、モー子さんと、かかわってくださった皆さんが、ともに勇気を分かち合えたことがうかがえます。
京都へと帰る日。喜界空港には親戚やこの旅で知り合った方々の姿がありました。
「またおいでねー」
「待ってるよー」
モー子さんも笑顔で手を振り返します。海を隔て離れていても、親戚の皆さんはこれからもずっとモー子さんの応援団でいてくれることでしょう。
鹿児島空港で出発を待つモー子さん(中央)とご両親(撮影:CaNoW)
じつは旅立つ前、モー子さんは強い痛みで予定外の入院をしたり、発熱を繰り返したりして、車いすに座ることもままなりませんでした。それでも強い意思を持ち、飛行機を乗り継いで夢をかなえた姿には脱帽させられます。困難を抱えていてもあきらめず、夢を持っていい。モー子さんの姿はきっと、病気と闘う全国の子どもたちの憧れとなり、背中を強く押してくれることでしょう。

【協力者・医療機関など】
喜界徳州会病院 浦元智司 院長、幸 昭仁様(総務課)、日本航空株式会社、鹿児島空港ビルディング株式会社、日本エアコミューター株式会社、鹿児島空港事務所、土岐宏大様(シンガーソングライター)、安田博樹様(喜界島島唄唄者)、萩尾菜々子様(フラダンス ダンサー)、喜界島うるまエイサーのみな様、田邉大智様(喜界島観光物産協会)、栄 忠則様(Funky Station SABANI オーナー)

※モー子さんと母・ココすけさんのブログはこちら
「通信制から医学部目指し、星になった娘モー子☆母、おまけの人生大奮闘日記!!」

撮影:榮 光里

当日同伴スタッフ:松原美香子、中島愛佳(M3)

企画プランニング:中島愛佳、畠千晶(M3)

文章作成:保田明恵

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