願いを叶えた方々

Mさん

「映画館へ行きたい!」

「映画館へ行きたい!」

お喜びの声をいただきました

願いを叶えるまで

Mさん(享年31歳)は子宮頸がんを患っていました。末期状態となり、積極的治療はできないと医師に告げられたため、入院していた病院を退院。残された時間は、本人には伝えられませんでしたが、数カ月でした。
Mさんは身寄りがありません。病状から一人暮らしは難しいため、退院後は医療対応型施設(以下、施設)で過ごすことになりました。そこへの訪問診療に同行していたのが、今回の応募者で在宅ホスピスナースの川瀬真由美さんです。Mさんの願いを叶えるために、CaNoWに相談してくださいました。

■ ベッド上でも、大好きなアーティストの話をするときは笑顔

Mさんはがんによる痛みがあるため、ほとんどの時間をベッド上で過ごしていました。寂しさや孤独、病状への不安から精神的に不安定になることもあったそうです。
しかし、そんな日々の中でも明るい笑顔を見せてくれることがありました。それは、訪問看護や、施設のスタッフと大好きなアーティストの話をしている時です。特にダンス・ボーカルグループの「GENERATIONS」(ジェネレーションズ)は、部屋にポスターを貼り、写真集やグッズを集めるほどの大ファン。緩和ケア認定看護師で、患者さんが楽しみを持つことの大切さを痛感していた川瀬さんは、これを見逃しませんでした。


ちょうどこの頃、「GENERATIONS」が主演する映画の公開が迫っていました。Mさんを楽しませたいと考えた川瀬さん、「Mさんを映画館にお連れしてほしい」とCaNoWに応募されたのです。

■ 前日はネイルをして心待ちにしていた映画鑑賞。しかし……

企画の実施に向けて、CaNoWスタッフは映画館までのバリアフリー経路を確認するなど、入念に準備しました。Mさんも前日、施設の看護師にネイルを塗ってもらい、心待ちにしていました。ところが……。


当日の朝、Mさんは朝食後に嘔吐。「SpO2値(酸素飽和度)が90%以下になったため、行けないかもしれない」との連絡を受け、CaNoWスタッフが様子を見に行くと、Mさんはぐったりとした様子でした。
突然の体調の変化について、川瀬さんと同じ在宅ホスピスに従事し、Mさんの主治医である小出緑先生はこう説明します。
「わくわくしすぎて自律神経が乱れたせいでしょうか。本当に調子が悪かったのはあの日だけで、翌日にはもう落ち着いてきたんですよ。本当に楽しみだったのでしょうね」


映画鑑賞は中止となり、落ち込んだ様子のMさん。CaNoWスタッフは急遽、ベッド上でも楽しんでもらえるようにと、「GENERATIONS」のDVDをプレゼントしました。
「Mさんは自分ではDVDプレイヤーの操作ができなかったので、私や施設のスタッフなどが流して差し上げました。音楽に合わせて、施設の方とペンライトを振っている動画を見せてもらったこともあり、とても楽しそうでした」(川瀬さん)
闘病中のMさんにとって、大好きなアーティストの存在が、生きる喜びとなっていたのです。

CaNoWからプレゼントしたDVDと、ペンライト、メッセージカード。施設のベッド上で鑑賞していただけた。

■ 最期のお見送りも、音楽に合わせて皆で歌い踊りながら

映画館に行くはずだった日から1カ月もたたない頃、別れは訪れました。


「いよいよ具合が悪い」との連絡を受けて、施設や在宅ホスピスのスタッフ、治療先病院の医療や介護のスタッフを中心に、かかわりのあった人たちが、Mさんのまわりに続々と集まってきました。数えきれないほどの人々が、お別れを伝えに訪れたのです。


その時、誰かがDVDプレイヤーのスイッチを入れました。すると、流れてきた音楽に合わせて、皆が歌い、踊り始めたのです。思いはひとつ、「Mさんが寂しくないように見送ってあげたい」
「あんなに賑やかな最期に立ち会ったのは初めてでした」と、川瀬さんはしみじみと振り返ります。


施設での療養期間は3カ月ほどと長くはありませんでした。それでも、Mさんとかかわりを持った人々は、強い共感を寄せていたといいます。他界後しばらくは、皆が「Mさんロス」に陥ってしまったほどに。悲しみの深さは、Mさんと支援する側の人たちにたしかにあった、心の交流を物語っていました。

■ 闘病時でもタイミングを逃さず、やりたいことを実現してほしい

(写真はイメージです)

Mさんのような患者さんにとって欠かすことのできない緩和ケア。緩和ケアに従事する人たちは、患者さんに希望を持ってもらい、それを叶えるための支援に心を砕いていると川瀬さんと小出先生は言います。今回の企画について、お二人はこんな感想を寄せてくれました。


「患者さんにとって、何かを楽しみにして過ごす時間は、治療よりも一番大事かもしれません。Mさんのケースでは、実現は叶いませんでしたが、『映画の日まで頑張ろう』と目標を持ち、明日へと気力をつないでいけたのは大きなことでした」(小出先生)


「がんの終末期は先が読みづらく、『もうちょっと良くなったらやろう』などと考えるうち、いい時期を逃がしてしまう方がいらっしゃいます。でも、何かをやりたいと思った時が一番いい時だと思うので、タイミングを逃がさず実現できるようサポートしてあげたいですね。
その点、CaNoWに応募した際は、実現に向けて非常に早く動いてもらい、ありがたかったです。CaNoWのようなサポートを色んな患者さんに利用してもらい、やりたいことを叶えていってもらいたいです」(川瀬さん)


実現可能な楽しみができれば、それは今日というかけがえのない日を生き抜くための希望の明かりとなる。「やりたい」がもたらす力を、Mさんに教えていただきました。


文章作成:保田明恵

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