願いを叶えた方々

愛知県 仲川瑠衣子さん、Mちゃん、Kちゃん

人工呼吸器を付けた双子の娘をディズニーランドに連れていきたい!

人工呼吸器を付けた双子の娘をディズニーランドに連れていきたい!

お喜びの声をいただきました

人工呼吸器を24時間手放せない二人の娘(9歳)を連れて外出するのは困難で、近場や病院ばかりでした。娘たちは好奇心が旺盛で何にでも興味を持つ時期です。どこかへ連れて行きたいと思うのですが、外出中に体調不良があったり、想定しないことが起こったりしたらという不安の方が大きく、なかなか外出に踏み出せませんでした。新幹線で東京へ行くなんて夢の話で、実際に行けるのか全く未知でしたが、スタッフの皆様のおかげで無事にディズニーランドへ行くことができ、ミッキーマウスにも会えて、娘たちも楽しむことができました。帰ったあとも体調は安定しています。私も自信がつき、今後は外出をたくさん挑戦していきたいと思いました。

願いを叶えるまで

「娘たちにも周りのお友だちと同じように旅行の経験をさせてあげたい」
仲川瑠衣子さん(愛知県在住)が、CaNoWにそう相談を寄せてくれたのには理由がありました。双子のMちゃん、Kちゃんは7ヶ月で発達の遅れが見られ、遺伝子検査の結果「脊髄性筋萎縮症 I型」(SMA)と診断されました。体幹や四肢の筋力が徐々に低下していく指定難病です。首の座りがなく、母乳を飲むことがだんだんできなくなり、鼻からチューブを通して栄養を摂取、NPPVで呼吸管理をするようになりました。約3年間の入退院を繰り返しましたが、現在は人工呼吸器をつけて、胃ろうからの栄養、移動はバギー(電動車椅子)を利用しながら自宅で元気に暮らしています。小学校3年生になったMちゃん、Kちゃん遠出するには大変な労力がかかります。それでも、遊びたい!お出かけしたい盛りの二人。瑠衣子さんはCaNoWに「人工呼吸器を付けた双子の娘をテーマパークに連れていきたい!」と願いを寄せてくださいました。

■ 外出中の食事も、事前の準備で和やかに

CaNoWでは、瑠衣子さんと相談のうえ、Mちゃん、Kちゃんを東京ディズニーランド(千葉県)に招待し、普段からサポートをしている訪問看護師のお二人にも同行していただきました。娘さんたちがYouTubeでジャンボリーミッキーの動画を見ていたり、友だちがディズニーキャラクターのグッズを持っていたりすることから、「ディズニーがいちばん楽しめそう」と瑠衣子さんは考えました。その後何度か打ち合わせを重ねていきました。

当日の朝、CaNoWスタッフが自宅を訪問すると、すでにMちゃん、Kちゃんはバギーに乗っていて準備万端。体調を確認し、介護タクシーに乗り込みました。いつもの訪問看護師さんが付き添っているので、Mちゃん、Kちゃんも落ち着いた様子です。トラブルなく名古屋駅へ到着しました。
名古屋駅からは東京駅まで新幹線で移動します。たんの吸引や胃ろうからの水分補給、オムツ交換、体位交換などのケアは多目的室で、そのほかの時間は車椅子スペースで、Mちゃん、Kちゃんが交互に場所を移動しながら過ごしました。
介護タクシーの車内で母親の瑠衣子さんと、Kちゃん。
瑠衣子さんと一緒に、願いごとを紙に書くKちゃん。
東京駅についてからは介護タクシー2台にわかれて乗車し、いざディズニーランドへ! 車内では、みんなでディズニーの音楽を聴き、気分を盛り上げました。車窓から東京スカイツリーや葛西臨海公園の観覧車などのランドマークが見えると、さらに楽しい雰囲気に。
Mちゃん、Kちゃんはおしゃべりが難しく、短く発声してコミュニケーションをとることができます。瑠衣子さんが「ミッキーに会いたいね!」と声をかけると、Kちゃんは「んんー(違う)」、瑠衣子さん「え? ドナルド?」、Kちゃん「ん(そう)」というほほえましい場面も。二人ともYES、NOのコミュニケーションははっきりしています。

シンデレラ城が見えてきてほどなく、タクシーはディズニーランドに到着しました。まずは予約していたレストランで昼食です。Mちゃん、Kちゃんは胃ろうから食事をとるため、瑠衣子さんはあらかじめレストランに連絡し、料理をペースト状にしてもらっていました。外出先での食事はふだんより大変ですが、この日は訪問看護師がサポートしたため、和やかな時間となりました。

■ 2歳のときに病棟で会ったミッキーと再会!

食事のあとは、アトラクションやショーへ。「ミッキーの家とミート・ミッキー」では、Mちゃん、Kちゃんの間近にミッキーがやってきてご挨拶。「入院していた2才の頃、病棟にミッキー&ミニーが来てくれたときは大泣きしていた二人でしたが、今日は楽しそうにしていました」と瑠衣子さん。わが子の成長に目を細めます。

続いて「クラブマウスビート」(ショー)では、最後列の席ではありましたが、躍動感いっぱいの音楽を全身で味わいました。キャラクターが近くまで来てくれて驚く二人。休憩をはさんで、きらびやかな「シンデレラのフェアリーテイル・ホール」(シンデレラ城)の中に入ると、タイルでできたモザイク画のような壁画が目を引きます。Mちゃん、Kちゃんも手で触れてその感触を楽しんでいました。少し日が暮れてきてからは、園内の「アメリカ河」を周遊する「蒸気船マークトウェイン号」に乗船。Mちゃん、Kちゃんも、瑠衣子さんも、舞浜の夜風に気持ちよさそうに当たっていました。

瑠衣子さんが「いちばん娘たちに見せたかった」と言っていたのは、「エレクトリカルパレード」です。幸運にもコースの最前列で見ることができ、夜の光溢れるパレードに吸い込まれるように見入っていたMちゃん、Kちゃん。たくさんのキャラクターが二人に手を振ったり、手でハートポーズを作ったりしてくれて、温かいメッセージを受け取りました。

こうしてアトラクションやショーを体験する合間には、たんの吸引などのケアや休憩、夕食の栄養剤や薬投与、人工呼吸器に使うポータブルバッテリーの充電のためにケアルームへ移動。ディズニーランドに滞在した約8時間のうち、およそ半分はケアなどにあて、無理のないように時間配分しました。体調不良時に備え、主治医の紹介状を事前にディズニーランド近くの病院へ送っていたため、安心して楽しむことができました。

■ 体位、オムツ交換、水分投与…夜間も途切れのないケア

宿泊先は、JR舞浜駅並びのホテルです。瑠衣子さんと訪問看護師が、Mちゃん、Kちゃんに合わせて客室の環境を整えます。夜間の清拭や体位、オムツ交換、水分投与などは、訪問看護師のお二人で途切れのないケアを担っていました。
ホテルの客室に医療機器を設置し、ケア体制を整える。たくさんの電源が必要となる。
ぐっすり眠る二人。まるで病棟のように整った設備。
翌朝、ホテルのロビーに集合すると、Mちゃん、Kちゃんは「んっんー、んっんー!(ミッキー、ミッキー)」と昨日の楽しさを聞かせてくれました。実は、この日は二人の誕生日。介護タクシーの運営会社のはからいで、ぬいぐるみをプレゼントしてもらいました。思いがけない贈り物に、二人もうれしそうです。
ツアー二日目は誕生日。思いがけないプレゼントを受け取るMちゃん。
ホテルから東京駅までタクシーで移動し、帰りの新幹線に乗車。名古屋駅に着いてからは、再び介護タクシーへ乗り込んで自宅へ。Mちゃん、Kちゃんはベッドに移動し、初めてのディズニーランドツアーは幕を下ろしました。

■ 荷物の運搬や、バッテリーの充電がハードルになっていた

ツアーから数日後、CaNoWでは瑠衣子さんにインタビュー取材をしました。

───東京から帰宅し、娘さんたちの様子はいかがですか?

おかげさまで体調を崩すこともなく、翌日も学校に行きました。“ディズニーハイ”というのか、刺激をもらったようでテンションも高く、とても元気に過ごしています。

私自身は、常に「二人に何かあったらどう対応するか」を頭の中でシミュレーションしているのですが、ツアー中は二人の楽しんでいる姿を見てふっと力が抜ける瞬間がありました。訪問看護師さんやCaNoWのスタッフさんに助けられて、外出時の段取りもすごくスムーズだったことが大きかったと思います。

───CaNoWのスタッフは、どのような場面で力になれたでしょうか。

とにかく荷物が多いので、まず移動中などの運搬を手伝ってもらったことが助かりました。また、ディズニーランドのなかでバッテリーを充電できる場所は一箇所だったのですが、何度も走って持ってきてもらって、私は娘たちのそばにいることができました。娘達も話しかけてもらったり、遊んでもらったりするのが大好きなので、CaNoWのスタッフさんが優しく声を掛けてくれて嬉しかったようです。スタッフさんの姿が見えなくなると「あれ?」「どこ?」というように目で追って探していました(笑)。

■ 「新生児マススクリーニング」にSMA検査を追加できる!

───Mちゃん、Kちゃんは地元の小学校に通っているそうですね。

はい、訪問看護師さんやヘルパーさん、学校看護師さんや介助アシスタントさんがサポートしてくださっていて、私の付き添いなしで通学しています。学校の科目では図工や音楽が好きですね。歩いたり物を持ち上げたりすることはできませんが、声を出してのコミュニケーションをとることができます。手先のスイッチ操作や、視線の動きで操作する意思伝達装置で平仮名、数字を入力したりして、自分の言いたいことを伝えています。

───医療的ケアが必要なお子さんの家庭では、親御さんが仕事をすることが難しいといわれます。そうした中、瑠衣子さんは資格を取得して、お仕事を始めたとか。

重度訪問介護という資格を取り、障害のある大人の方のお宅へ訪問し、ヘルパーとして働いています。やはり子どもと大人とでは、ケアの内容も使用する医療機器も違います。娘たちの将来のためにも、とても勉強になっています。大変なこともありますが、少しずつでも働けたらと思っています。

───SMAの治療について教えてください。

うちの娘たちは0歳でSMAと診断され、最初は看取りとされていましたが、髄腔内(腰椎の間)に薬を投与する注射をし、現在は内服薬で治療しています。治療のおかげで急激な進行は抑えられ、声が大きくなり、手先の動きもよくなってきました。この記事を読まれている方に伝えたいのは、SMAは進行性の疾患ですが、治療法はあり、1日でも早く治療を始めることが大切だということです。治療開始が早ければ早いほど、効果が高いことがわかっています。

「新生児マススクリーニング」(先天性代謝異常等検査)といって、すべての新生児が公費(自治体によっては無料)で受けられる検査があります。このスクリーニング検査に、従来の検査項目に加えてSMAの検査を追加できるようになりました。SMAの追加検査は、自治体によって公費だったり、実費負担が必要だったりばらつきがありますが、これから生まれるお子さんはぜひ受けてほしいと思います。そしてSMAの可能性が疑われたら、すぐに治療を受けていただきたいですね。

【企画協力】
角谷茜様、渡邉あかり様(みんなのかかりつけ訪問看護ステーション緑)
有限会社シキナサービス
民間救急ありよし介護タクシー

当日同伴スタッフ:中島愛佳、松原美香子(M3)

企画プランニング:中島愛佳、玉井彩水音(M3)

文章作成:越膳綾子

あなたも願いを叶えませんか?
メルマガ登録でキャンペーン情報が届きます

    メルマガ登録をされる場合、エムスリー株式会社の『個人情報取り扱いについて』の内容に同意したものとします。