「わぁ生きてる!」微細な表情も伝わる、オンライン面会レポ

この記事は、2020年5月29日に、医療従事者向けWEBメディア「m3.com」内に、 「特集: 患者の願いを叶える『CaNoW』Vol. 19 「わぁ生きてる!」微細な表情も伝わる、オンライン面会レポ」のタイトルで掲載されたものです。

微細な表情も伝わる、オンライン面会レポ

「コロナ禍によって家族と会えなくなって不安だ」「自由に外に出られなくてストレスがたまる……」株式会社NTTドコモ、ソニー株式会社、エムスリー株式会社の3社は現在、合同で新型コロナウイルス感染症対策で面会や外出を制限されている患者さんやそのご家族を対象に、オンライン面会やVR・ARを使用したコミュニケーション、外出体験システムの提供に向けた協業の検討を進めています(詳細はプレスリリース参照)。今回は、実用化を前に実施された、千葉リハビリテーションセンターでのトライアルの模様をレポート。前編ではオンライン面会についてお伝えします。

面会制限で3か月も会えず…リアルに感じる息子の表情に歓喜

今回のオンライン面会トライアルで使用したのは『Xperia Touch(エクスペリアタッチ)G1109』というプロジェクター(現在は開発・生産共に終了。今回は他の製品の検討を進めるためのトライアルとして使用しています)。小型で持ち運びが簡便なため場所を選ばず、テーブルや壁など、様々な場所に画像・映像を投影し、ビデオ通話や映画鑑賞を愉しむことができます。また、投影された画像や映像をタッチすることでの直感的な操作が可能です。今後は他のソニーの製品を活用して、ドコモの通信技術を駆使し、オンライン面会の早期実用化をめざします。

トライアルにご参加いただく患者さんは、生まれつきの重度重複障害で入院中の、高校生の男の子。病室とお母様のいらっしゃる病院1階のリハビリ室、それぞれに製品を設置して、相互の画像を繋ぎます。トライアルということもあり、始めは接続に不具合が生じたり画面が映らなかったりとハプニングもありましたが、じきに安定。患者さんとお母様のお顔が相互に見えた瞬間は場内に歓喜の声があがりました。
CaNoW_026_手を振りながら患者さんの名前を呼ぶお母様
手を振りながら患者さんの名前を呼ぶお母様、患者さんは口を大きく開いて「あー!」と反応しています。
CaNoW_026_お母様の嬉しそうな笑顔
体験当日はNHKのカメラも密着。お母様の嬉しそうな笑顔が印象的です。
患者さんはベッドに寝た状態のため、看護師さんが頭を支えて画面が見えるよう介助。お母様が映る画像を見て、口を大きく開けて反応している様子です。お母様も体を前に乗り出して椅子に座り、熱心に話しかけていました。オンライン面会体験を終えて…

お母様
「画面を見た感想は、わっ、映ってる!生きてる!ってリアルに感じました!息子は重度の障害を持っていて会話も困難でほぼ寝たきりなんです。傍から見ると分かりにくいかもしれませんが、親の私には、今どんな表情しているのか理解出来るほど画面が鮮明でした。うちの子は口を大きく開けると「嬉しい!」という意味なんですけど、口を開けているのがよく分かって。名前を呼びかけると、あーって大きく口をね。私の声も届いていたようですね、嬉しいです。
CaNoW_026_オンライン面会体験を終えて嬉しい表情のお母さま
コロナ禍前までは週4.5回面会に来ていたのですが、面会制限になってしまい3か月程度会えませんでした。病院では医師の皆様にも看護師さんにも保育士さんにも本当によくしていただいているので不安はなかったし、便りがないのは元気な証拠!と思っていましたが、私がただただ寂しくて……。ほんの少し会わない間に、髪を切っていただいて、表情も子どもっぽさが抜けてなんだか少し大人になったみたい。こうした状況ですから、私たち家族は医療従事者の方の邪魔をしないように、少しでも感染が抑えられるように我慢のときだと言い聞かせていますが、どうしても寂しさが抑えられないときなど、月に1度でもいいので使わせていただけると嬉しいなぁと思います。」

千葉リハビリセンター院長 菊池尚久先生
「顔が見えるっていうのがすごくいいですね。表情もわかるし重い障害のお子さんも、声が入ったときの表情の変化は絶対にありますし、何よりお母さんがすごく喜ばれていて。それは写真では出来ないことですよね。

今は面会制限がありますし、あとはここの病院は千葉県内全域から来られている方も多く、遠方だと車でも1時間掛かってしまう方もいますし、なかなか忙しくて面会に来られないご家族もいます。今日のトライアルはセンター内同士で繋ぎましたが、ご自宅でも出来そうな気がしますし。コロナが落ち着いて以降も含め、是非検討したいですね。」

ソニーのIoT/VR・AR技術、ドコモの通信技術を駆使し、医療現場へ貢献

オンライン面会のトライアルを終え、ドコモ、ソニー、エムスリー3社 それぞれの担当者に、プロジェクトにかける思いや今後の展望を聞きました。

株式会社NTTドコモ 遠藤尚志さん
「2019年の2月にエムスリーとドコモで資本業務提携契約を結び、医療現場の支援について取り組むことになりました。当初は外出がままならない方や、遠出や旅行が難しくなってしまった、特にシニアの終末期にある患者さんに対してアプローチすることを検討していましたが、2020年3月に入ると新型コロナウイルスの感染が急速に拡大。入院患者さんに対する家族の面会禁止や外出の制限が掛かるようになったことを受け、急遽、入院されている全ての患者さんやご家族に活用いただけるようスピードを上げて協業の検討雨を進めております。

5月からはソニーの協力を得てデバイスの強さも加わりました。エムスリーの医療現場におけるアセット、そして我々ドコモの通信技術を駆使して、患者さんやご家族へのご支援が出来たらと思っています。

患者さんのご家族が遠方の場合やご多忙でなかなか病院に来られないケースでは、オンライン面会だけでなく、インフォームドコンセントにも役立つのでは?と医師の皆様からもお問い合わせをいただいており、様々な活用法を模索しながら進めて参りたいと考えております。

ソニー株式会社 相見猛さん
今回実施したオンライン面会のトライアルでは、ポータブルサイズのプロジェクターを使用することによって、手軽に大きな画面で臨場感を感じなら面談が出来ることが特徴です。

今回はトライアルということでこの製品を使用しましたが、実用化へ向けては、より鮮明でクリアな面会ができる方法の検討を進めております。
CaNoW_026_Bravia+Xperia
今回のトライアルでプロジェクターのセットアップに時間が掛かることや、環境設定の課題も把握できましたので、また工夫をし、1日も早く医療現場でお役立ていただけるよう進めていきたいです。」

エムスリー株式会社 浅井有紀子氏
「エムスリーでは、患者さんの新しい選択肢を作りながら願いを叶えるという趣旨の元、CaNoW(カナウ)というプロジェクトを推進しており、このオンライン面会の活動もその一環として取り組んでいるものです。

新型コロナウイルス感染症対策のため患者さんやご家族の面会や外出が制限されており、メンタル面の影響も懸念される状態と聞いています。今回使用したエクスペリアタッチというプロジェクターは、タブレットやスマートフォンなど慣れていないご高齢の方やご病気の方などでも操作しやすいのが特徴です。トライアルを通じて実際にご高齢方やご病気の方がどう感じるかをしっかり検証し、1日も早い実用化で患者さんやご家族への貢献をめざしていきたいです。」

後編ではARを使用したコミュニケーションや、外出体験のサポートについて紹介します。
※CaNoWとは病気や加齢などを理由に叶えられなかった「やりたいこと」の実現をサポートするプロジェクト。これまでに「大好きなサッカーチームをスタジアムで応援したい」「病に倒れてから一度も行けていない職場へ、もう一度行きたい」「生まれ育った土地をもう一度観に行きたい 」などの願いをサポートしてきました。詳細はCaNoW公式ホームページをご覧ください。
掲載元媒体:m3.com

メルマガを登録して
最新情報を受け取る

    メルマガ登録をされる場合、エムスリー株式会社の『個人情報取り扱いについて』の内容に同意したものとします。