子どもの頃からダンスが好きだったという金氏知江子さん(51)。しかし、左足の甲に軟骨肉腫を発症し、2020年につま先部分(中足骨から先)を切断しました。切断後は、しばらくは俯いてばかりの日々を過ごしていた金氏さんですが、ある動画をきっかけに徐々にダンスへの想いが復活していきます。そんな金氏さんの願いは、「義足になっても大好きなダンスを踊りたい」とのこと。そこで、今回CaNoW(※)が金氏さんの願いをサポートすることになりました。

ミュージカル出演を前に軟骨肉腫が悪化。失意の中で手術を受ける
小学生の頃からダンスに夢中だったという金氏さん。中学生の頃は、体育祭でダンスの振り付けを担当するなど、当時から活発な性格の持ち主だったと言います。また、金氏さんの両親もダンスを通じて知り合ったといい、家族にとってもダンスは身近な存在でした。大人になってもダンスへの情熱は続きます。2020年には、素人が主体のミュージカルに参加が決定。しかし、目標に向けて頑張っていたものの、左足の激しい痛みで断念しました。以前から左足の甲の「中足骨」に発症していた軟骨肉腫が悪化し、腫瘍が大きくなっていたのです。
歩くだけでも強く痛み、とてもダンスを続けられる状態ではありませんでした。金氏さんは、自分の身に起きた出来事にたじろぎつつも、2020年5月に中足骨の切断手術を受けることになりました。

左足のつま先を切断…ダンスがあれば前向きになれる!
中足骨の切断手術後、すっかり落ち込んでしまった金氏さん。しかし、そんな金氏さんに前を向かせたのは、とあるダンスパフォーマンス集団でした。「彼らのダンス動画を見ているときだけは、少しだけ気持ちが明るくなれる」
次第に、金氏さん自身のダンスへの想いも再燃していきました。
そうして今回、金氏さんはCaNoWチームにこのような願いを応募します。
「中足骨を切断して、義足を着けて約1年になりますが、まだまだ今の生活に慣れません。正直、日常生活だけで疲れて切ってしまってダンスどころではないと思っています。
一方で、好きなダンスパフォーマンスの動画を見ていると、とても前向きな気持ちになります。そんな時は、中足骨を切断してもダンスがしたい。義足を着けて、年齢が高くて、体力がなかったとしても、多くの人に生きる希望や前に進む勇気が伝わったら嬉しい!と思う自分もいます。そこで、今回はCaNoWの願いを叶える企画に思い切って応募して、義足でダンスを踊る夢を叶えたいです」
CaNoWスタッフが、応募に至った経緯や動機などを聞いていくと、プロの義足ダンサーの大前光市さんからレッスンを受けてみたいという金氏さんの強い想いが聞かれました。大前さんは、のちに東京パラリンピックの開会式にも出演した世界的なダンサーです。
ダンス用の義足は、日常用の義足と何が違う?

まずは、義肢装具の製作などを行う「義肢装具サポートセンター」(東京都)で金氏さんの義足の作成に取り掛かります。
臼井さんが問診をした後、金氏さんの足に沿って丁寧に型を取りました。仮作成、試し履きの段階を経て、約1か月後には完成されたダンス用の装具が金氏さんの元に届きました。
ダンス用の義足は、生活用義足とは違ってダンスの動きに最適な形・強度を想定しているそうです。臼井さんによると、ダンスならではの回転や捻り、足首の動きにも注視したとのことでした。
世界的な義足ダンサーとのレッスン。夢を叶える準備ができた

金氏さんがCaNoWに応募された当時は、切断から約半年が経過したところでした。40分程度立ちっぱなしだと疲労を感じるレベルで、1日に2~3回は鎮痛剤を飲んでいました。そうした状況を考慮して、大前さんはレッスンの内容を考えてくださいました。
軟骨肉腫で左足のつま先を失った金氏さんが、義足を着けてダンスに挑戦する夢の準備段階をレポートしました。次回は、実際にダンス用の義足が完成するまでの経緯や、ダンスレッスンを実現する様子までをお伝えします。
※CaNoWとは、病気や障がいを理由にかなえられなかった「やりたいこと」の実現をサポートするプロジェクトで、企業やその従業員の寄付やサポートで患者さんの願いを叶えていきます。詳細はCaNoW公式ホームページをご覧ください。
このプロジェクトには、CaNoWの理念に共感したノバルティス ファーマ(株)の従業員が寄付しています。
このプロジェクトには、CaNoWの理念に共感したノバルティス ファーマ(株)の従業員が寄付しています。