放課後デイのみんなから、家族へ「ありがとう」を伝えたい!
伝えたい

放課後デイのみんなから、家族へ「ありがとう」を伝えたい!

No.
054
実現日
2026.06.13
ページ公開日
2026.08.19
プランナー
中島愛佳、真部佳織(M3)
同伴スタッフ
中島愛佳(M3)
コンテンツライター
越膳綾子

重症心身障がいや医療的ケアが必要な子どもたちと、多忙な毎日を送るご家族。子どもたちは家族の愛情を感じていながらも、身体的な制約から感謝を伝えることが難しい場合も少なくありません。そこでCaNoWは、医師の皆様からの寄付をもとに、放課後等デイサービスに通う子どもたちが家族へ感謝を伝える企画を実施。医ケア児の育児経験があるアーティストらを迎え、五感で楽しむ特別な1日をお届けしました。当日の様子とスタッフの声を紹介します。

言葉に代わる贈り物。家族の笑顔があふれた特別な日

「言葉や身振りで表現することは難しくても、子どもたちの心にある温かい気持ちをご家族に届ける機会を作れないだろうか――」。

全国の医師の皆様から寄せられたご寄付をもとに、CaNoWが今回訪れたのは、「重心・医ケア児 児童発達支援・放課後等デイサービス ぽかぽか川崎」(神奈川県)です。ここには、重症心身障がいにより日常的な医療的ケアを必要とする就学前から高校生までの子どもたちが通っています。

ご家族にとって一番の喜びは、何より「子どもたちが笑顔で楽しい時間を過ごしていること」ではないでしょうか。そこで今回は、ご家族へ贈るバルーンのプレゼント作りなど、子どもたちが五感を使ってワクワクできるような時間を企画しました。医ケア児を育てた経験を持つハープ奏者やバルーンアーティストの協力を得て、笑顔あふれる特別な1日をレポートします。

6月某日、「ぽかぽか川崎」でバルーンアーティストが、ワークショップを始めました。どんどん出来上がっていくバルーン作品を、子どもたちは目を輝かせて見つめます。風船を膨らませるガスが「シュー!」と音を立てると大喜びする子、ゆらゆら揺れる人形型のバルーンを興味深そうに見上げる子など、会場のあちこちで笑顔が弾けます。

初めて見るハープを見つめる子ども。左後ろはゆらゆら動くバルーン人形。

ハープの生演奏では、初めて見る楽器に驚きつつも、心地よい音色に子どもたちはじっと聴き入っていました。合奏体験では、マラカスやカスタネットなどから好きな楽器を選びます。最初は緊張していた子どもたちも、練習を重ねるうちに「この楽器をやりたい!」と自ら意思表示をするようになり、生き生きと音を鳴らしていました。

イベントのクライマックスは、お迎えに来たご家族へのサプライズです。ご家族は施設が密にならないよう時間をずらして順番に来所されたため、子どもたちはその度に、何度も練習した合奏を披露しました。回数を重ねるごとに自信がついた表情を浮かべる子も。

そして、自分たちで作ったバルーンを手渡しました。「これがお花だよ」「赤にしたんだ」と伝えようとする様子も見られ、思わず顔をほころばせる親御さんたち。思いがけないプレゼントと一生懸命な姿に、温かい時間が流れました。

「こういう音が好きなんだ」。非日常が引き出した、子どもたちの新たな一面

イベント実施から数日後、「ぽかぽか川崎」の担当スタッフお二人に、当日の様子を振り返っていただきました。

――今回のCaNoWの企画をお引き受けいただいた背景を教えてください。

Bさん:私たちは普段、療育を行いながらも、子どもたちの医療的ケアや生活介助が中心となってしまい、、限られた人数のスタッフだけでイベントを実施するのは難しいのが現状です。そのため、外部のプロの方々のお力を借りて、子どもたちに特別な体験を提供できる今回の企画は、本当にありがたい催しでした。

Aさん:司会進行をお任せできたことで、私たちスタッフは子どもたちひとりひとりにじっくりと関わる時間を持てたことも、すごく良かったと思います。

バルーンと造花を組み合わせた作品に夢中の子ども。

――当日の子どもたちの反応はいかがでしたか。

Bさん:普段は会わない人たちがいる空間の刺激を、子どもたちが全身で楽しんでいるのを感じました。バルーンのワークショップのときも、自分たちで触って作るのが難しいお子さんがいる中で、スタッフの手を借りながら作品が出来上がっていく様子を感じ取って目で追っている子が何人かいて、すごく嬉しく思いました。

Aさん:ハープの音色だけでなく、風船にガスを入れる音や、バルーンが浮いて動く様子に夢中になっていたのも印象的でした。「あ、この子はこういう音が好きなんだ」と、毎日一緒に過ごす私たちにとっても新たな発見がありました。言葉で思いを伝えるのが難しい子どもたちの「楽しい」を探る、非常に良い機会になったと思います。

楽器選びでも、柄を見て違う楽器を選んだり、他の子が演奏しているのを見て「あっちをやりたい」と手を伸ばしたりしていました。部屋の照明を落とし、ハープの生演奏や光るバルーンでリラックスする「スヌーズレン」の時間でも、ただ落ち着くだけでなく「光っているね」と自分からアピールしてくれる子もいました。普段とは違う形でのコミュニケーションを取ることもでき、穏やかで良い時間を過ごせました。

色とりどりの楽器からお気に入りを選ぶ子どもたち。選んだ楽器は、そのままプレゼントとして贈られました。

送迎では見えない家族の絆。医師からの寄付が現場を支える力に

――ご家族の反応はいかがでしたか?

Aさん:普段はスタッフが子どもたちをご自宅まで車で送迎しているため、親御さんと施設でゆっくりお話しする機会は多くありません。しかし今回は、親御さんが施設まで直接お迎えに来てくださいました。親御さんが来てくれた時の子どもたちの喜びようは特別で、「これがお花だよ」などと自分の作品を一つずつ一生懸命に説明していました。

送迎の際にはなかなか見えない、ご家族の温かいコミュニケーションの様子を見ることができて、私たちとしてもとても良かったと感じています。

Bさん:後日、バルーンをリビングに飾っていることや、一緒に来たきょうだい児のお兄ちゃんが「また来たい」と言ってくれたことも伺い、ご家族全員に楽しんでいただけたようです。

バルーンワークショップで作成した、家族へのプレゼント。

――最後に、全国の医師からの寄付で成り立つCaNoWの活動へメッセージをお願いします。

Aさん:病気や障がいがある子どもたちや大人の方々の手伝いもされていて、素晴らしい活動だと感じています。病院の先生方が寄付を通じてこうした企画に協力してくださっているという事実が、現場の私たちからしても非常にありがたいです。ぜひ今後も、このような活動を続けていただきたいです。

企画を終えて

スタッフだけでは難しいイベントでしたが、プロのハープやバルーンに子どもたちは大喜びでした。「また来たい」と言ってくれたお兄ちゃんもいて、私たちの取り組みへの理解が広がっていくとうれしいです。