新年度に切り替わる4月は、それぞれが新しい生活を始める季節。しかし、入院中の子どもたちは通学が難しく、入学や進級といった「節目」を実感しづらい環境にあります。そこでCaNoWでは「進級・入学おめでとうプロジェクト」を企画。チャイルド・ライフ・スペシャリスト協会やm3.comの会員医師など多くの方々にご協力いただき、小児病棟に入院している子どもたちに「おめでとう」のプレゼントを贈りました。
■ 「一人ひとりが喜ぶプレゼント」を実現するために

進級・入学のお祝いに、どんなものを用意したら子どもたちに喜んでもらえるのだろう。病室でも使いやすく、子どもたちの年齢に合ったものは? CaNoWスタッフがまず頭を悩ませたのは、プレゼント選びでした。そこで、「チャイルド・ライフ・スペシャリスト協会」に相談しました。
チャイルド・ライフ・スペシャリスト(以下、CLS)とは、病院で治療を受けている子どもや家族をサポートするスペシャリスト。子どもたちへの対応について専門知識を持っています。 2023年の企画にもご協力いただいており、入院中の子どもにとって身近で信頼のおける存在であることを、CaNoWも実感していました。
今回のプレゼント選びについても、「文房具を贈る場合、はさみなどの刃物は病棟で持っていると危ないので避けたほうがいい」など、現場をよく知るからこその的確なアドバイスをいただきました。
プレゼントの贈呈先もCLS協会を通じて募集し、抽選で10病院に決定。小児病棟に入院中の子どもや、退院後も通院している子ども374名にプレゼントを用意しました。
商品の仕入れやラッピング、病院への発送は、CaNoWの趣旨に賛同してくれた書店にお願いしました。人気の絵本や、SNSで話題になっている文房具といったセレクトは、子どもたちの好みをよく知っている書店ならでは。1人分ずつかわいく丁寧にラッピングされたプレゼントは、今年3月、各病院に届けられました。


■ 全国の医師が子どもたちを応援!
今回のプレゼントには、「m3.com」の会員医師たちからのお祝いの気持ちも込められています。m3.comはエムスリーが運営する日本最大級の医療専門サイトで、33万人以上の医師が会員登録しています。CaNoWがm3.comのサイト上で会員医師に寄付を呼びかけたところ、短期間でのべ614名から寄付が集まりました。集まった寄付金は、プレゼントの購入費や発送費に充てさせていただきました。
さらに、寄付とともに子どもたちやご家族に温かいメッセージも寄せられました。メッセージそれぞれに、小児病棟の子どもたちを気遣う気持ちや、応援する気持ちがあふれていました。その一部を紹介します。
●「いつも頑張っているあなたの門出をお祝いしたいと思います。おめでとうございます」(消化器内科・40代・女性)
●「つらい時、いたい時、あそびたいのにがまんしてちりょうをした時もあったでしょう。毎日毎日、きみががんばっていることをまわりのみんなはしっていて、すごいなぁとおもっています。すこしずつ大きくなってくれるとみんなはとてもうれしいです。たくさんの人がきみのことをおうえんしています」(整形外科・40代・男性)
●「十分頑張ってらっしゃると思いますが、少しずついい未来になるよう一緒に頑張りましょう」(産婦人科・20代・女性)
●「世界中のお医者さんや研究をしている人たちが、あなたの病気を治そうと頑張っていますよ。どうか待っていてください」(脳神経外科・60代・男性)
医師からのメッセージはプレゼントに添えるメッセージカードに印刷。直接会ったことはないけれど、全国の医師が応援していることを伝えました。


■ 入院中でも「桜の前」で記念撮影を
また、入院中は屋外に出ることが難しい子どももいます。そこで、CaNoWではオリジナルの「桜の木ポスター」を作成し、病院に届けました。病棟内に貼って、進級・入学の記念撮影の背景にしてもらおうと考えてのことです。
紙で作った桜の花飾りも同封。これを子どもたちや病院のスタッフがポスターに貼り付けて「満開の桜」を完成させよう――というものです。
桜の花飾りは、エムスリーの社員たちが手作業で作りました。会議室に材料の花紙を用意して参加を呼び掛けたところ、この企画の趣旨に共感した大勢の社員が協力しました。子どもたちの成長を祝う気持ちを込めて一つひとつ作った飾りは全部で300個。ポスターとセットにして、各病院に届けました。

■ 事務局には、嬉しい報告とお礼のメッセージ
4月を迎えると、CaNoWにはプレゼントを受け取った子どもたちや病院のスタッフから続々と報告の写真やメッセージが届きました。院内学級の校長先生からプレゼントを渡していただいた病院や、この企画をきっかけに「新年度おめでとう会」を開催した病院もあったそうです。写真は子どもたちの素敵な表情でいっぱい。事務局のスタッフまで笑顔にしていただきました。
■ 子どもたちから直筆の手紙も




また、桜のポスターも好評で、病院のスタッフの方々から「子どもたちが写真撮影をしていました」「壁に貼ると病棟が春っぽくなって、スタッフも嬉しかった」という報告や、子どもたちと病院のスタッフで花飾りを貼り付けている写真もいただきました。

■ 入院していても、すべてが「患者さん」になるわけではない
さらにCaNoWでは、企画にご協力いただいた島根大学医学部附属病院のCLS・黒崎あかね さんにインタビューを行いました。入院していてもすべてが「患者さん」になるわけではないというお話に、CaNoWも深く共感しました。
〈インタビュー〉
島根大学医学部附属病院・CLS
黒崎あかねさん
───今回の企画に応募していただいた理由をお聞かせください。
幼稚園や学校などの集団から離れて入院生活を送ることになった子どもたちは、自分だけ置いていかれたような気持ちになることがあります。病棟にいるとどうしても時の流れを感じにくくて、「節目」を意識しづらいんですね。でも、入院しているといっても、その子のすべてが「患者さん」になるわけではありません。あくまで一人の子どもで、そこに病気がついているだけです。当院では入院中でも節目を大切に、毎年進級を祝う会を開催してきました。CaNoWの企画はまさに私たちの思いと共通していたので、応募させていただきました。
───プレゼントを渡していただいた際、子ども達の様子はいかがでしたか?
プレゼントは年齢に合わせた人気の商品がセレクトされていて、みんな大喜びでした。スタッフが子どもに「どんなものが入っていたの」と問いかけて話が盛り上がったり、子どものほうから私たちに「弟と一緒に遊ぶんだ」と話してくれたり、プレゼントをきっかけにあちこちで会話が生まれていました。───桜のポスターも活用していただけたでしょうか?
桜のポスターは、病棟のエレベーターを降りてすぐの目立つところに貼りました。子どもたちが花を貼り付けたほか、通りがかりの人の目にも止まって、気持ちを明るくしてくれたと思います。■ 子どもたちの明るい未来を願って


今回の企画では、CLS協会様、寄付やメッセージをお寄せいただいたm3.com会員医師の皆様 、プレゼントの送付などでご尽力いただいた書店スタッフの皆様、贈呈先各病院のスタッフの皆様 、エムスリー社員など、多くの方々のご協力で実現しました。「おめでとう」がいっぱい詰まったプレゼントを子どもたちに届けることができ、心から感謝申し上げます。
また、想定を上回る多くの病院から応募があり、すべての病院の子どもたちにプレゼントをお届けすることができなかったことをお詫び申し上げます。
今も小児病棟で病気やケガと向き合い、頑張っている子どもたちに、明るい未来が訪れることを願い、これからも応援していきます。