水陸両用車いすHIPPOcampの輸入販売を行う合同会社souの代表 中岡亜紀さんは、日本航空の元客室乗務員。遠位型ミオパチー※と確定診断がついた25歳で離職。紆余曲折を経て、障がい者もそうでない人も、ともに自然を楽しむ“ユニバーサルフィールド事業”を推進する中岡さんですが、彼女には客室乗務員時代に置き忘れたひとつの「心残り」がありました。ここでは、中岡さんの今後の目標。そして中岡さんが日本に導入したHIPPOcampによって願いを叶えた、ある患者さんのチャレンジを紹介します。ぜひインタビュー前編も合わせてご覧ください。
※指先や足先など、体幹から離れた部位の筋肉が萎縮していく病気で、筋ジストロフィーの一種。難病に指定されている希少疾患で、現時点で根本的な治療法は見つかっていない。
脳梗塞発症の後遺症で左半身麻痺に…「もう一度登山がしたい」
今回、登山にチャレンジしたのは、大阪府在住の松本さんご夫妻。約1年前、ご主人が単身赴任中に脳梗塞を発症、現在も左半身麻痺の後遺症と闘っています。リハビリ後、装具をつけて社会復帰はしたものの、これまでのライフワークであった、ランニングやアウトドアの趣味も諦め「生きがいをどこに見出したらいいのか」と、夜も眠れないほどの思いに苦しめられることもあったと言います。「もう一度、ふたりで登山がしたい…」そんな松本さん夫婦の願いが届けられたのは、患者支援プロジェクト【CaNoW】(※)のもと。お二人の願いをを叶えるべく選ばれた舞台は、長野県は南アルプスの八ヶ岳、富士見高原ユニバーサルフィールド。水陸両用車いすのHIPPOcampを利用して、闘病後初の登山に挑みます。

前輪のタイヤが太く、ハンドルのリーチが長い特徴的な構造のため、今回のような講習や、慣れが必要ではあるものの、奥様もすぐに操作を習得。さっそく展望台を目指すことに。道中、傾斜のきつい坂道や砂利道も、HIPPOcampなら問題ありません。
非力な女性でも楽に操作することが可能で、介助者への負担が少ないのもHIPPOcampの大きな特徴。サポートを受ける側は、介助者の負担を気にしてやりたいことをあきらめてしまうことも多いもの。介助者の負担が少なく、ともに自然を楽しむことができるからこそでしょうか、松本さんご夫妻からも柔らかい笑い声がこぼれます。

「普段はなかなか言えなかったけれど…いつもどうもありがとう、これからもよろしく」

挑戦を終えた松本さんご夫妻の目には、2日前とは違った希望が、みなぎっているようでした。

つながる希望、ユニバーサルフィールドという選択肢の先に…
水陸両用車いすのHIPPOcampや、重度障がい者でも楽しめるデュアルスキー等の輸入販売のほか、ユニバーサルフェスの開催、観光庁や信州大学との連携によるユニバーサルフィールドコンシェルジュの育成を推進するのは、日本航空の元客室乗務員であり、遠位型ミオパチー闘病中の中岡亜紀さん(中岡さんのこれまでの活動を紹介したインタビュー前編はこちら:リンク)。「体が不自由でもできる、という選択肢を作りたい」と言う中岡さんの目標は、今回の松本さんご夫妻の事例のように、たくさんの実を結んでいます。今後の目標について伺いました。中岡さん
これまで一般社団法人として10年間活動を続けたことで、ユニバーサルフィールドの考え方も広がり、長野県の“ユニバーサルツーリズムコンシェルジュ”のように地域にも根付くことができました。
この思いを、もっともっと広めていくために、合同会社souとして新たな挑戦へ踏み出すことを決めました。
───新たな挑戦とは?
中岡さん旅行部門の立ち上げです。私たちの団体は、障がいを持つ方々が旅行を楽しむための、道具、ノウハウ、人材がそろっています。あとは旅行商品を作って、お客様を呼び込むだけ。いまは検索の時代ですから「遊びに行きたいな」と思った方がちょっと検索することで「旅行に出かけられる選択肢がありますよ」とうことを知っていただける体制が作れればと思っています。
───旅行というテーマは、客室乗務員として活動していた中岡さんにとって、原点とも言えるのでは?
中岡さんそうですね、やっぱり客室乗務員は好きで就いた仕事でしたし、知らない場所へ出かけることは当時も、いまも大好きです。病気になって、大好きな仕事を辞めざるをえなくなってからも、ずっとどこかに心残りがあったように思います。
それが、子どもたちとの出会いがあって(前編参照:リンク)、ユニバーサルフィールドの活動を始めて、考え方が広がってくる中で、私自身も「まただれかの翼になれるかもしれない」という思いが芽生えてきました。それが今回の旅行部門につながっています。

医療が支えてくれる日常と、私たちが提案している非日常。その両方が大切だという思いがあります。「病気になってもこんな世界があるよ」「身体が不自由でも、こんなこともできるよ」という選択肢を、ぜひ多くの闘病中の方々に知っていただけたらうれしいです。

※患者支援プロジェクトCaNoWとは
人生100年時代、2025年には全人口の約18%にあたる2179万人が後期高齢者に。さらに医療の発達により、さまざまな疾患を持ちながらも、その病と共生する人々が年々増加しています。
「CaNoW」は、病気や加齢などを理由に叶えられなかった「やりたいこと」の実現をサポート。これまでにも先行モニター企画として、「大好きなサッカーチームをスタジアムで応援したい」「病に倒れてから一度も行けていない職場へ、もう一度行きたい」「生まれ育った土地をもう一度観に行きたい 」などの願いを叶えてきました。
詳細はCaNoW公式ホームページをご覧ください。
人生100年時代、2025年には全人口の約18%にあたる2179万人が後期高齢者に。さらに医療の発達により、さまざまな疾患を持ちながらも、その病と共生する人々が年々増加しています。
「CaNoW」は、病気や加齢などを理由に叶えられなかった「やりたいこと」の実現をサポート。これまでにも先行モニター企画として、「大好きなサッカーチームをスタジアムで応援したい」「病に倒れてから一度も行けていない職場へ、もう一度行きたい」「生まれ育った土地をもう一度観に行きたい 」などの願いを叶えてきました。
詳細はCaNoW公式ホームページをご覧ください。