
小児病棟に入院中の子どもたちは通学が難しく、入学や進級といった「節目」を実感しづらい環境にあります。CaNoWでは、2025年4月の新年度に合わせて小児病棟の子どもたちをお祝いする「進級・入学おめでとうプロジェクト」を企画。病院の小児病棟に入院している374名の子どもたちにプレゼントを贈りました。企画の実現にあたって、m3.com会員の先生方からもたくさんのご寄付と、子どもたちへの温かいメッセージをいただきました。
入院中でも新年度を実感してほしい
小児病棟は通常は15歳までの患者さんを受け入れており、診療科ごとに分けられた一般病棟とは違い、小児病棟は診療科を分けず、多様な病気の子どもたちが入院生活を送っています。短期間で退院できる子どもがいる一方で、小児がんや慢性疾患など病気によっては入院が長くなる場合もあります。地元の学校に通うことが難しく、休学していたり、院内学級で学んだりしています。屋外に出ることの制限もあるため、どうしても季節のうつろいや、入学・進級といった節目を感じにくい側面も。ご家族がお祝いをしたくても、病気や治療のことで頭がいっぱいで余裕がないことも少なくありません。そこでCaNoWでは、入院中の子どもたち一人ひとりにお祝いのプレゼントを贈る「進級・入学おめでとうプロジェクト」を企画。入院中でも入学や進級を実感し、少しでも楽しい気持ちで新年度のスタートをきってもらいたい、ご家族や病院のスタッフなど周囲の人たちと「ここまでよく頑張ったね、新しい1年が始まるね」などとコミュニケーションのきっかけにしてほしい――そんな思いでプロジェクトをスタートしました。


医療環境下だからこそ安全で喜んでもらえるプレゼントを
主役の子どもたちに喜んでもらえる内容にするのはもちろんのこと、小児病棟の患者さんの場合は、より安全に、治療の支障にならないようにするといった、医療環境下にあるからこその配慮も必要です。そこでチャイルド・ライフ・スペシャリスト(以下CLS)の職能団体「社団法人チャイルド・ライフ・スペシャリスト協会」(以下CLS協会)に協力をお願いしました。医療環境にある子どもや家族に心理社会的支援を提供する専門職として子どもたちの状況をよく知る存在であることを、2023年の企画に協力していただいた時に実感していたからです。

プレゼントを受け取る374名の子どもたちは年齢も興味の対象も異なるため、CaNoWが絵本や文房具といったプレゼントリストを作成し、贈呈先の病院のCLSさんに選んでいただくようにしました。
プレゼントリストを作る際には、CLS協会から「文房具を選ぶ際には、はさみなどの刃物は病棟で持っていると危ないので避けたほうがいい」など、現場を知るCLSさんの目線でアドバイスをいただきました。
商品の細かい選定やラッピング、病院への発送は、企画の趣旨に賛同してくれた書店に依頼しました。子どもたちに人気の絵本や、SNSで話題になっている文房具など、子どもたちの好みに詳しい書店ならではのセレクトを1人分ずつかわいくラッピングして、各病院に送っていただきました。
エムスリー会員医師も寄付とメッセージで子どもたちを応援
今回の企画に際してm3.comのサイト上で会員医師にポイント寄付を呼びかけたところ、短期間でのべ614名から寄付が集まりました。集まった寄付金は、プレゼントの購入費や発送費に充てさせていただきました。寄付とともに、子どもたちやご家族に温かいメッセージも寄せられました。メッセージ一つ一つにつらい治療を頑張って受けている子どもたちを気遣う気持ちや、応援する気持ちがあふれていました。その一部を紹介します。
消化器内科
40代
40代
いつも頑張っているあなたの門出をお祝いしたいと思います。おめでとうございます
整形外科
40代
40代
つらい時、いたい時、あそびたいのにがまんしてちりょうをした時もあったでしょう。毎日毎日、きみががんばっていることをまわりのみんなはしっていて、すごいなぁとおもっています。すこしずつ大きくなってくれるとみんなはとてもうれしいです。たくさんの人がきみのことをおうえんしています
産婦人科
20代
20代
十分頑張ってらっしゃると思いますが、少しずついい未来になるよう一緒に頑張りましょう
脳神経外科
60代
60代
世界中のお医者さんや研究をしている人たちが、あなたの病気を治そうと頑張っていますよ。どうか待っていてください
また、各病院には、CaNoWオリジナルの「桜の木ポスター」も届けました。病棟内に貼って、進級・入学の記念撮影の背景にしてもらおうと考えてのことです。紙で作った桜の花飾りも同封。これを子どもたちや病院のスタッフがポスターに貼り付けて「満開の桜」を完成させよう――というものです。
ポスターのデザインはエムスリーのデザイナーが、300個の花飾りはエムスリーの社員たちが「おめでとう」の気持ちを込めて作りました。


子どもたちから届いた笑顔とたくさんの「ありがとう」
数日後、CaNoWにはプレゼントを受け取った子どもたちから、お礼の手紙や写真が届きました。院内学級の校長先生からプレゼントを渡していただいた病院や、この企画をきっかけに「新年度おめでとう会」を開催した病院もあったそうです。写真は子どもたちの素敵な表情でいっぱい。事務局のスタッフまで笑顔にしていただきました。子どもたちから直筆の手紙も




「ありがとう」
「しょうがっこう、がんばるね、これからもびょうきをなおしてね」
「入院生活の励みになりました。治療も勉強も頑張ります」
丁寧に一生懸命書いた文字から、喜んでくれたことが伝わってきます。病院のスタッフも、プレゼントを受け取った子どもたちが嬉しそうにしていた様子を、たくさん報告してくださいました。


入院していても、すべてが「患者さん」になるわけではない
さらにCaNoWでは、企画にご協力いただいた島根大学医学部附属病院のCLS・黒崎あかねさんにインタビューを行いました。入院していてもすべてが「患者さん」になるわけではないというお話に、CaNoWも深く共感しました。
〈インタビュー〉
島根大学医学部附属病院・CLS
黒崎あかねさん
───今回の企画に応募していただいた理由をお聞かせください。
幼稚園や学校などの集団から離れて入院生活を送ることになった子どもたちは、自分だけ置いていかれたような気持ちになることがあります。病棟にいるとどうしても時の流れを感じにくくて、「節目」を意識しづらいんですね。でも、入院しているといっても、その子のすべてが「患者さん」になるわけではありません。あくまで一人の子どもで、そこに病気がついているだけです。当院では入院中でも節目を大切に、毎年進級を祝う会を開催してきました。CaNoWの企画はまさに私たちの思いと共通していたので、応募させていただきました。
───プレゼントを渡していただいた際、子ども達の様子はいかがでしたか?
プレゼントは年齢に合わせた人気の商品がセレクトされていて、みんな大喜びでした。スタッフが子どもに「どんなものが入っていたの」と問いかけて話が盛り上がったり、子どものほうから私たちに「弟と一緒に遊ぶんだ」と話してくれたり、プレゼントをきっかけにあちこちで会話が生まれていました。───桜のポスターも活用していただけたでしょうか?
桜のポスターは、病棟のエレベーターを降りてすぐの目立つところに貼りました。子どもたちが花を貼り付けたほか、通りがかりの人の目にも止まって、気持ちを明るくしてくれたと思います。子どもたちの明るい未来を願って

寄付を寄せてくださったm3.com会員の先生たちに、なぜ寄付をしてくださったのか、動機を伺ったところ、「小児科医として、父親として、入院治療を頑張っている患児の応援をしたかった」「病気の子供たちに少しでも喜んでもらいたい」「全ての子供達に生まれてきて良かったと感じて欲しい」「病院で過ごす子どもたちを何らかの形でフォローしたかった」など、多くの先生たちが子どもたちを応援したいという思いで行動してくださっていました。
また、回答欄に「大変有意義な企画」と書いてくださった先生も多く、CaNoWとしてもこの企画を実行してよかったという思いが高まりました。病気やけがと向き合い、頑張っている子どもたちに明るい未来が訪れますように。これからもCaNoWは応援していきます。